飛び交う手紙、通報も「ぺんてる争奪戦」の壮絶 コクヨ、プラスとも一歩も引かない構え

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対するプラス側の買い取り価格は3500円。買い取り条件では明らかに見劣りする。そこで強調するのが、OB・OGの結束だ。目下、大株主のOBらが中心となって、株主の自宅を1件1件まわっている。

鍵を握る「浮動票」

コクヨの買い取りは、ぺんてる現経営陣の退陣とセットになる。株式の譲渡を会社側に認めさせる必要があるからだ。買い取り後、臨時株主総会を招集し、過半数の賛成決議をもって現経営陣を退陣させ、新経営陣に譲渡を認めさせる。ある意味、コクヨが勝利すれば、その後の状況はわかりやすい。

海外比率の高さがぺんてるの特徴の1つ。そのぺんてると組むのはコクヨか、プラスか(記者撮影)

一方、プラス側の買い取りが成立した場合、事態は複雑になる。プラスは20%以上を買い取りの下限としている(上限は33.4%)。買い取りが成立しても、コクヨが筆頭株主であることには変わりはなく、両社がぺんてるの大株主としてにらみ合うことになる。

「ぺんてる愛」が強いOB・OGの中には、「どんなに高値を提示されても絶対に売らない」とする株主の保有分が15%~20%あるとされる。カギを握るのは、いまだ態度を決めかねている浮動票だ。

一部のぺんてるの大株主の自宅前には、「ガードマン」とも「監視人」ともつかぬ男が立っているという。訪問者があれば「いま、〇〇が入っていった」という情報が逆陣営に行き渡り、出て行った後で「家の中で何が話されたのか」の確認作業がはじまる。こうした情報合戦の結果、「お互いの動向は筒抜けになっている」(関係者)。

息をもつかせぬ攻防だが、ぺんてる株の争奪戦は業界再編にも直結する。趨勢は、週明けにも明らかになる。

野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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