飛び交う手紙、通報も「ぺんてる争奪戦」の壮絶 コクヨ、プラスとも一歩も引かない構え

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水谷氏の直筆とされる手紙(編集部撮影)

ぺんてるの株主には、今年6月の株主総会の際にも水谷氏から手紙が送られているが、直筆で書かれているのは署名箇所だけで、本文はワープロで打ち込まれていた。11月20日付のぺんてるを支持する手紙も、29日付のコクヨを支持する手紙も、体裁は同じだった。

だからこそ直筆であれば、信ぴょう性が高まる。あるぺんてる関係者は、12月1日付の手紙について「間違いなく直筆だ」と強調する。だがその一方で、これまでの筆跡とは微妙に異なるという指摘もあり、真偽のほどははっきりとしない。

買い取り価格は4200円まで引き上げ

ぺんてるもコクヨも、12月2日以降は声明を一切出していないこともあり、真相は薮の中だ。いずれにしても、かつてジョンソン米大統領が愛用していたことで知られるぺんてるのサインペンが、このような使われ方をされる日がくるとは、誰も想像していなかったに違いない。

こうして株主に向けた手紙が飛び交うのは、ぺんてるが未上場会社で、株主数が約340人と少なく、うち300人ほどはOB・OGが占めているためだ。OB・OGをいかに自陣に引き入れるかが勝負の分かれ目になる。

すでにぺんてる株の38%を保有するコクヨは、残り12%以上を取り込むために全力を注ぐ。当初1株3500円だった買い取り価格は、11月29日には4200円まで引き上げられた。ぺんてる株の譲渡には取締役会の承認が必要だが、これまではぺんてる自身による1株125円での買い取りしか認めてこなかった。それが、4200円で処分できるとなれば、株主にとって売却への大きなインセンティブになる。

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