トヨタにも繋がるヤフーLINE統合が起こす衝撃 日本が「米中に次ぐ第三極」を目指すカギ

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筆者はその壮大なエコシステムを「スーパーアプリ経済圏」と呼んでいますが、その全体構造は図のとおりです。

(出所)『ソフトバンクで占う2025年の世界 全産業に大再編を巻き起こす「孫正義の大戦略」』(PHPビジネス新書)

(編集部註:外部配信先では図を全部閲覧できない場合があるので、その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

両社の組み合わせによるインパクトとしては、まず優れた顧客基盤と顧客接点が挙げられます。デジタルトランスフォーメーション時代の顧客基盤とは、ずばりスマホのなかで親密な顧客接点をいかにもつかという点に集約されているなかで、LINEというコミュニケーションアプリと多様なサービスを展開するソフトバンクグループの連合は、これで国内No.1の顧客基盤をもつ勢力に躍り出たと言っても過言ではないでしょう。

そして、その優れた顧客接点であるスマホ決済アプリ「ペイぺイ」「LINEペイ」を入り口として、金融、EC小売り、モビリティー、通信、電力・エネルギー、旅行などその他のサービスへと誘導する巨大なプラットフォームが形成されるのです。

大いに注目できる点

最先端のフィンテック王国 中国のアリババの決済アプリ「アリペイ」には、世界で12億人の年間アクティブユーザーがいるとされています(「2019 Investor Day」資料)。一方で、テンセントの「ウィーチャットペイ」はコミュニケーションアプリ「ウィーチャット」のウォレット機能として提供され、ウィーチャットには約11億5100万人の月間アクティブユーザーがいるとされています(「2019年9月期結果報告」資料)。

利用者数で見ると、ヤフー・LINEの経営統合による連合でも太刀打ちできないことは明白である一方、アリババとテンセントが合流するような大きなインパクトのある統合されたサービス展開が可能となる点については大いに注目できます。

アリババとテンセントは、生活サービスのプラットフォームのなかに商流・金流・物流 を囲い込み、ユーザー一人ひとりに関するビッグデータを蓄積しています。そのデータが新たなサービスの開発に活用され、さらに次のサービスが展開されるという事業展開を続けてきました。

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