トヨタにも繋がるヤフーLINE統合が起こす衝撃 日本が「米中に次ぐ第三極」を目指すカギ
11月に発表されたヤフーとLINEの経営統合。2社の経営統合によって、検索やSNS、ネット通販、金融などさまざまなインターネットサービスを一手に担う、利用者数1億人超の巨大グループが生まれることになります。統合発表時に開催された共同記者会見では、共同CEOとなる両社社長から「米中に次ぐ第三極を目指す」という大胆なビジョンが提示されました。
しかし、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)と両社を傘下にもつ新生Zホールディングスを比較すれば、時価総額では前者は軒並み50兆円以上であるのに対して後者は3兆円強と1桁違い、研究開発費では前者が2兆円前後に対して後者は3社合わせても200億円と2桁違い。研究開発費の違いが企業としての足腰の強さの違いを表しています。
さらに、ヤフーとLINEがただ経営統合しただけなら確かに国内では強大な企業連合となりますが、海外では残念ながらLINEが大きなマーケットシェアを有しているタイ・台湾などでの強大な連合にとどまってしまう。やはり中国やインドにも攻め込むようなインパクトがなければ、「第三極」と呼べるようなものにはならないのではないでしょうか。
それでは、両社が目指すように、日本が「米中に次ぐ第三極」になるために必要なものは何でしょうか。本稿では、ヤフー・LINEの経営統合における狙いと影響を踏まえながら、そのカギについて考察したいと思います。
統合の狙いは「スーパーアプリ経済圏」の構築
拙著『ソフトバンクで占う2025年の世界』でも詳しく解説していますが、まず、両社の経営統合の狙いを押さえておきましょう。
それは、スマホ決済アプリ「ペイペイ」「LINEペイ」を顧客接点として機能させることで、ソフトバンクグループ全体とLINEでシナジーを創出し、EC小売りを先鋭化させるとともに、銀行・証券・保険・投資信託・小口融資といった金融、ライドシェアなどモビリティー、通信、電力・エネルギー、旅行、メディア・広告、コンテンツなど、生活全般に関わる多様なサービスに顧客を誘導する、そのための強固なエコシステムを構築するということです。
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