2019年も物議醸した「ステマ」招く根本的な理由 ペニオク騒動から7年、モラルに頼るのは限界

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ペニオク事件では運営者が逮捕されるまでタレントがペニオクから報酬を受け取っていたことは表沙汰になっていなかった。つまりステルス=こっそりと広告が行われていたことは明らかだが、京都国際映画祭では吉本興業やミキが宣伝に協力していることはいっさい隠されていない。どれくらい両者の関係が認知されていたかは別にして、マスコミを呼んだお披露目会見まで行っている以上、少なくとも関係性が隠されていた事実はない。

吉本興業への取材では「映画祭を吉本がPRすることは(ステマ報道の発端となった)京都新聞でも記事になっている」こともわかった。

確かに京都新聞のHPには「2018年の京都映画祭」という記事が掲載されており、吉本芸人が多数参加したお披露目の会見の様子が写真入りで記事になっている。

※会見は2018年10月に行われているが、記事の更新をしたせいか執筆時点で日付は「2019年10月28日 7:30」となっている

京都新聞では会見の概要のみが短く報じられたが、映画祭のHPや他のメディアでは、多数の吉本芸人に加えてミキが映画祭のPRに参加することも会見で公表されている。

今回のステマ騒動では、「吉本興業やミキが映画祭の宣伝に協力しているなんて知らない」という批判の声も多数あった。しかし「関係性の明示」を、関係性が「公開されているか否か」のみで考えるのなら、ペニオク事件はステマだがミキのツイートはステマには当たらない。

ステマの定義となる「関係性の明示」は「公開の有無」の話なのか、たとえ公開されていても「知らない人が多い」とか「わかりにくい」状況ならばダメなのか。これはガイドラインでも説明されていない話でグレーゾーンとしか言えない状況だ。

芸能人の仕事に関するツイートはステマか?

芸能人が自身の仕事に関してSNSやブログで情報発信を行うことはごく日常的に行われている。そういったツイートとミキのツイートの違いは報酬が発生しているか否かだ。

そして「報酬が発生しているのに広告の表記をつけていない」。この1点が今回の騒動では唯一の問題だった。

吉本興業と京都市の両者に、「ツイートに報酬が発生する以上、広告とかPRとつけるべきでは?」「ツイートにある#京都市盛り上げ隊という表記は、わかりやすい表記を意図的に避けた結果では?」と疑問をぶつけたが、「今後はよりわかりやすい表記にする」という回答だった。

「今後ではなく今回の件についてはどうか?」「わかりにくい表記だったのではないか?」とさらに確認をすると、「ツイートに含まれていた『京都市盛り上げ隊』などの表記で関係性は理解いただけていた」というのが吉本興業からの最終的な回答だ。

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