2019年も物議醸した「ステマ」招く根本的な理由 ペニオク騒動から7年、モラルに頼るのは限界
この回答を読んで、「言い逃れをしている」と感じた人もいるかもしれない。筆者も当初はそのような印象を強く受けた。しかし、広告であることを示す表記(便益タグ)は以下のように多数ある。
WOMJガイドラインではこれらに加えて以下のような表記も便益タグとして使用を認めると説明されている。
筆者はメディアや広告の仕事に携わることもあるため、いずれも広告を表していることは理解できる。しかしこれらの表記をすべての人が「これは関係性の明示で、広告であることと報酬の発生を意味している」と瞬時に理解できるかと考えれば、おそらく不可能だろう。よくよく考えればこれらの表記はわかりやすいどころかいずれも「わかりにくい」ものばかりだ。これはステマの定義である「関係性の明示」と深く関わる。
「吉本興業と京都市の関係なんて知らない」
「京都市盛り上げ隊という表記で広告とわかるわけがない」
たとえ公開されていたとしても知らない、あるいはわかりにくいからステマだ、と指摘する人は多数いた。同じように「サポーテッドってどういう意味?」「Sponsoredって何て読むんだ?」という人も当然いるだろう。結局これらの表記があったとしても「わかりにくい」状況であることは変わらない。少なくともすべての人が理解できる表記とは到底言えない。
※WOMJガイドラインでは「広告」「AD」は推奨のタグに含まれていないが、記事広告やタイアップ広告では広く使われている
ADって何の略? PRの日本語訳は広告?
記事の体裁をした広告、いわゆる記事広告でよく使われる「AD(アド)」という表記に至っては、advertising=広告の略称であると、すべての人がわかるとは到底考えられない。
ADと同様に多用されている「PR」も、日本語訳は広告ではなく「広報」だ。WOMJガイドラインでも以下のようにグレーゾーンであることを認めている。
『「#PR」は、パブリックリレーションズと混同のおそれがあるため使用は推奨しませんが、現状のWOMマーケティングの実態に鑑み、暫定的に使用を許容します』
「関係性の明示」をわかりやすさの観点で考えると、問題のある表記方法は多数ある。広告の表記はあっても場所がわかりにくい、色が薄くて見えにくい、表記のサイズが小さくて見えにくい、といったケースだ。
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