日高屋が「ちょい飲み」路線を転換する事情 働き方改革で既存店が失速、新業態を模索

拡大
縮小

新業態のほとんどは中華系の商品であるため、軌道に乗れば、工場の生産性向上にもつながる。パスタは既存の中華そばの製麺機、餃子も既存の製造機械を転用できる。

高橋社長は「ハイデイ日高は自社工場を持っており、製麺からタレまで、ライバルと比べて安くつくれる」と強調する。

「ちょい飲み戦略」からの方向転換を示唆

問題は、大黒柱である日高屋を今後どのようにテコ入れしていくのかだ。

この点について、高橋社長は「グループの売り上げに占めるアルコールは17%、食べ物が83%。われわれはどちらかというと、今後は食べ物を強くしないといけない」と、「ちょい飲み戦略」からの方向転換を示唆している。

日高屋の女性客比率は2割にとどまる。「日高屋に入ったことがない人はいっぱいいる。人口の半分は女性なので、もっと来店してもらいたい」(高橋社長)とし、今後は女性向けのメニューのほか、禁煙店舗を増やし、内装を変えることで、子どもや女性、家族連れを取り込む狙いだ。

高橋社長は「ちょい飲みはこれからも続ける」とはしているが、新業態に進出することで、顧客の対象を子どもから大人、男性から女性まで広げ、いわば全方位で攻めていく。

これまでの成功モデルの限界が見えてきた中で、日高屋は新たに選んだ戦略を実行する力が求められている。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT