入社8年、ITベンチャー勤務30歳の強烈な後悔 企業理念だけで就職先を決めた先に見た現実

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そして友人たちの年収を聞いているうちにさらに気持ちがなえてしまい、「自分の数年間はいったい何だったんだろう」と退職を決意したそうです。

しかし、退職を決めた後も、追い打ちをかけるように鈴木さんにとってはショックな出来事が続きます。

退職届も受理され、心新たに次の人生に向けて進もうと決意した矢先のことでした。

「俺も退職するよ」

別の会社に勤めていた大学時代の同級生、小沢正樹さん(仮名)からそう聞いた鈴木さんは少しホッとした気分になったそうです。「苦労しているのは自分だけじゃない」。そう思って情報交換のために小沢さんと2人で飲みに行ったそうです。

そのとき、小沢さんから「200万円くらいだけど退職金もあるから焦らずじっくり再就職先を決める」という話を聞いた鈴木さんは「そうだ、俺も退職金のこと聞かなきゃ」と会社に確認をしました。

そこで鈴木さんは知ることになります。鈴木さんが勤めていたA社にはそもそも退職金制度はなく、それに代わるようなものは何1つなかったのです。退職金が当たり前にあるものだと思っていた鈴木さんはまた1つ深いため息をついたのでした。

「これでは再スタートに差がありすぎる……」

就職前に必ず確認しておきたいポイント

学生時代の鈴木さんの選択は間違えていたのでしょうか。

私は間違えていたとは思いません。それは鈴木さん自身がインターンを通じて就活のポイントを「安定」から「やりがい」に変更しており、その「やりがい」そのものには問題がなかったからです。学生時代に社長と出会い、その声に耳を傾けて入社を決めたのですから。

ただ1つ、残念なのは、就活のポイントを“やりがい”だけで決断してしまったことです。新卒に限らず、就職先を選ぶポイントはたくさんあります。

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