入社8年、ITベンチャー勤務30歳の強烈な後悔 企業理念だけで就職先を決めた先に見た現実

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「俺たちが次の時代をリードしていくんだ」

社長はいつも10年先、20年先の日本を、そしてグローバルな世界を熱く語っていたそうです。鈴木さんはそんな熱く語る社長にいつしか尊敬の念を抱くようになっていきました。

社長が最も熱心に取り入れていたのがいわゆる“理念経営”でした。社長自身の生き方そのものを会社の理念とし、社員に対し、日々熱く語ることでその思いを浸透させてきました。毎日の朝礼でも欠かさず理念を語り、そして終業後の23時頃から始まる飲み会では始発電車が動き出すまで飲み明かし、社長の夢や会社の未来について、そして社長が目指す新しい世界を社員1人ひとりに語りかけていたそうです。

「せっかくのご縁だからうちで働いてみない?」

ある日、役員の1人からそう誘われた鈴木さんは悩むことなく、二つ返事で入社を決意したそうです。なぜなら鈴木さんの就活における優先順位が、A社へのインターンをきっかけに「安定」から「やりがい」に変化していたからです。

“やりがい”は永久エンジンになるのか?

学生時代や自身の若いころの経験に絶対的な自信を持っている社長の口癖です。ですから、社長は昔から目標を達成するためには非常にストイックになることができ、とことん自分を追い込むタイプでした。

クライアントからの無理な依頼にも「限界は超えるためにあるもの」と言って社員を鼓舞していました。だから、仕事が深夜0時を回ってもまったくお構いなし。もちろん、10人程度の会社ですから、社員の中には心身ともに疲弊しているように見える者がいることも社長は把握していました。

ただ、「ここを乗り越えれば成長できる」、また、どんなに苦しくても「世の中を変えるためなら社員も頑張れるはず」と信じて疑わず、休日なんかもそっちのけで仕事をしていました。入社から1年も経つと、鈴木さんも心身に違和感を覚えるようになっていったそうです。

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