入社8年、ITベンチャー勤務30歳の強烈な後悔

企業理念だけで就職先を決めた先に見た現実

社長も“働き方”を少なからず気にしていたようで、今の働かせ方が法令に抵触している認識もあったようです。しかし“理念の実現”が何よりも最優先と考える社長にとって法令順守は優先順位が高いものではありませんでした。そして、少なからず創業メンバーの数名も社長と同様の考えでした。

鈴木さんも、何度も心が折れそうになりましたが、「こんなにやりがいのある仕事はない」と必死で食らいつき、気が付いたら30歳を迎えてしまっていました。

そんなとき、こんな出来事がありました。

“労働の対価”は見合っているのか

「ボーナスが出たらみんなで旅行に行こうぜ」

大学時代の友人と飲み会をしていたときのことです。その友人の1人から旅行の提案がされました。行き先や日程、宿泊するホテルのランクなどを話していたときに、鈴木さんはひそかにショックを受けてしまったそうです。

友人はみんな、卒業後はそつなく大手企業に就職していたため、聞くとボーナスは年に最低2回、数カ月分はあるとのこと、さらに、日程について「空いているから、平日に行こう」と口をそろえて言っていたことにもショックを受けました。友人は皆、有休(年次有給休暇)は比較的使いやすいそうで、中にはそれとは別にリフレッシュ休暇もあり、旅行券まで支給される友人もいたそうです。

一方、鈴木さんの会社ではボーナスはなく、決算賞与が出るかどうかといったところです。さらに有休は病気以外ではほとんど使ったことがなく、常々社長からは「ここには仲間を残して遊びに行くようなやつはいない」と言われていました。

「少数精鋭で目標達成に向かってワンチーム精神を大事にしているので、それを乱すことは本気で理念に向き合っていない証拠だ」というのが社長の考え。他の社員もほぼ同様に有休を取っていないのが現状でした。したがって、法律上義務づけられている有休は一応あるものの、夏季休暇、年末年始休暇、ましてやリフレッシュ休暇などは存在していなかったのです。

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