中小企業向けモラトリアム問題、楽観的な劇薬投与は過剰な副作用を生む
ベタ貸しは廃されたが、その後も資本基盤の脆弱性という中小企業の事情はそのまま残ったのが実情。そうした問題を抱えて深刻な不況に再び突入し、中小・零細企業が困窮しているのが今である。
「返済猶予だけではなく、その間に景気が回復することが不可欠」ということは、今さらいうまでもない原理原則である。しかし、それだけではなく、中小・零細企業への返済猶予には、クリアしなければならない条件が少なくない。
それらの条件をクリアせずに、いたずらに元本・利払いの返済猶予というようなことになれば、社会に混乱を誘発し、自己規律が利かない事態にもなりかねないリスクがある。
中小・零細企業に対する支援策は欠かせないが、楽観的な劇薬投与はあまりにも副作用が大きいことを認識しなければならない。
(浪川 攻 =週刊東洋経済))
ブックマーク
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
トピックボードAD
有料会員限定記事
ビジネスの人気記事