激化する「ぺんてる株争奪戦」、揺れるOBたち OBたちに宛てられた2通の手紙の中身とは

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ぺんてるの経営陣も、そのトラウマは癒えていない。コクヨがぺんてるを子会社化すると発表した翌週の11月18日、ぺんてるの和田社長は一部の幹部社員向けにメッセージを送っているが、そこで販社連合についても触れている。

和田社長は、「プラットフォーム会社について、その実施については一切検討を行っておりません。皆様に以前お話させていただいた通り、プラットフォームは社内でのコンセンサスが得られない限り、プラス社との協議は行いません」と念を押すように説明している。

それに対して池野氏は、「ぺんてるというブランドや社員たちを守るという意味でも、まずは状況を冷静に見極められたうえで、今の経営陣の判断に異を唱え、安易に現経営メンバーやプラスの誘いに乗られないようにお願い申し上げます」と、メッセージを締めくくっている。

池野氏は長年、ぺんてるの営業のリーダーを務め、OB会の「ご意見番」的な存在でもある。それだけに池野氏の言葉には一定の重みがある。そして今回の混乱の遠因には、国内の営業戦略を巡るぺんてる社内の対立があるのだ。

プラスは他社にも出資を呼びかけ

水谷氏の必死の訴えと、冷静な判断を求める池野氏の呼びかけ。ぺんてるOB・OGは揺れている。

ぺんてるのOBやOGはどのような判断を下すか(記者撮影)

過半の株式取得を目指すコクヨに対し、プラスはぺんてるの資本的な独立を維持する方針。さらにプラスは「(JSCに)他のメーカーの参画を期待しております」と、他社にも出資を呼びかけている。一部報道では、新販売連合への合流も検討されたキングジムやニチバンがJSCに参画する意思があるとされた。

キングジムもニチバンも今後のJSC参画には含みを持たせているが、現在までのところ、両社は報道内容を否定している。12月中旬にも決着がつくコクヨとの株争奪戦には、プラス1社だけで臨むことになりそうだ。

総合文具業界1位と2位によるぺんてるの争奪戦は、今後の業界再編にも影響を及ぼす。キャスチングボードを握るぺんてるのOB・OGたちは、「ぺんてるを愛する」がゆえに、しばらくは苦悶の日々を過ごすことになる。

野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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