トランプ大統領は米中合意後、再び中国を叩く?

実は株価を上げることには固執していない

このように、日本でよく聞かれる「トランプ大統領は、来年11月まで株価を上げまくるのだ」という見解が一笑に付されただけでなく(念のため申し上げるが、私が笑っているのではなく、現地の取材先があきれて笑っていた)、「むしろ部分合意の後は、再度大統領は中国叩きを始めるのではないか」という警戒的な指摘を多く受けた。

というのは、多くの世論調査で、「中国を好ましくないとみる」人の割合は、共和党支持層でも民主党支持層でも、上昇傾向にある。つまり、「中国叩き」が票になる要素が強まっているわけだ。また今回の香港人権法案の上院での全会一致の可決にみられるように、議会でも超党派で中国を制裁しよう(議会の場合は、通商というより人権・安全保障面からであるが)という機運が強まっており、大統領も議会の意向を完全に無視することは難しいだろう。

このため、今後も大統領は中国に対しては、景気や株価が堅調であれば中国叩きに傾斜し、それで株価が崩れれば中国について柔和な姿勢をとるといった、振り子のような姿勢を繰り返すだろう、という警戒が現地では強いわけだ。

したがって、残念ながら、今後も「トランポリン(Trumpoline=Trump+Trampoline)相場」が続くだろう。ただ、冒頭で述べたように、そうした株価の上下動に一喜一憂して、高値であわてて買って、安値で狼狽して売る、ということがないように、落ち着いて対応したいところだ。

長期投資家が日本株を買い始めた背景は?

一方、アメリカ出張時は、日本株への投資を行なっている年金、ヘッジファンドなどの投資家と直接、あるいは多くの投資家と接している証券会社などと面談し、足元(株価指数先物ではなく)現物株で買い越し基調となっている背景についても、尋ねてきた。

これも日本では、「日本株がアメリカ株に比べて出遅れているから、日本株が買われている」「世界景気は早晩底打ちして回復に向かうと期待できるが、景気回復期には日本の企業業績の戻りが大きいので、日本株を買っている」とよく言われている。筆者も、アメリカのすべての投資家と会えるわけでもないから、そうした理由で日本株に買い出動している投資家もいるのかもしれない。

ただ、筆者が会った範囲では、そうした買いの理由を挙げた投資家は皆無だった。むしろ「日本株が出遅れているのは、企業業績の不振や消極的な企業経営など、株価が出遅れて当然という理由によるものだろう」「日本の株価の全体底上げシナリオには同意しない。上がるものは上がるだろうがそうでない銘柄も多いだろう、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)全体を持ち上げるような幅広い買いは入れたくない」という声ばかりを聞いた。

ではなぜ買っているかというと、元々の優良企業について、経営が前向きに変化し、増配、自己株の買い戻し、事業再編、親子上場の解消、M&Aなど、動きが積極化しており、そうした企業に選別的に投資してもよいと考えているからだ、との答えが返ってきた。

なお、彼らに言わせれば、そうした日本企業の経営の変化は、「日本の機関投資家が、投資先企業となれ合って「企業経営との対話」がお題目と化し、経営への圧力を強めないなかで、われわれ海外投資家が、日本の企業経営に耳の痛い提言を行なっているからだ」との自負があるようだ。とすれば、現地で、今回の日本の外為法改正が、すさまじい悪評を浴びていることは、容易に想像できるだろう。

さて、最後に、今週に限っての日経平均の予想だが、今週は大きな材料を欠く。このため、米中部分合意に関する大統領自身あるいは閣僚などの発言や、合意の先行きについての観測報道で、株価が上下に方向感なく動く展開が、残念ながら続こう。今週の日経平均株価は、2万2600円~2万3400円を予想する。引き続き、中期的には株価は天井圏にあると考えている。

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