今から考えると、彼女は関西流のボケに慣れておらず、「ツッコミ」自体が難しかったのかもしれません。悪いことをしたなぁとも思います。それにもちろん学歴と無関係にすてきだと思った人もいました。でも一緒に暮らすとなると、やはり会話が成立しないのは致命的なことのように思えてしまい……。
「学歴なんて関係ない」。もちろん明石家さんまさんに向かって、「おまえは大卒ちゃうからあかん」なんて言う人はいないでしょう。あんなにアタマの回転の速い人は東大の教員を含めても、ほとんど見たことがありません。彼はわが故郷・奈良の英雄で、中学受験ではずいぶん難しい学校を受けていたそうです。小学校時代は成績もよかったのでしょう。
「付き合ってください」と言われて、「すみません、あなたは中卒なのでパスです」と(仮に思っていても)答える人もほとんどいないでしょう。体育大学出身の女性と知り合ったんですが、スポーツ万能で「こんな人と暮らしたら、スキーとかいろいろ一緒に楽しめるやろなぁ」と思ったことがあります。彼女なら「ソ連占領テスト」は免除でよかったなぁ……。
「学歴」は、男女どちらが重視している?
だとすると、「学歴」のどこがそんなに重要なんでしょう? 出世の可能性?
まぁ確かに違うことはありえますねぇ。9割以上の女性が結婚相手の男性に経済力を求めるので、それを潜在的に示す学歴が重要視されるのかもしれません。ただ収入は変動しうるのに対して、学歴はたかだか20歳前後の成果が、ずいぶん長くついて回ります。大学入学時点では、確かに努力の成果なのですが、卒業をした瞬間に変更の困難な「属性」に変わってしまうのです。
独身者対象の意識調査で、相手の学歴を「重視or考慮する」割合は、男性で26.4%、女性で53.3%(出生動向基本調査 2010年)です。いまだに結婚は女性にとって、相手を通じた階層上昇という「生まれ変わり」になりうることがわかります。
女性の中には「私はいいのに、男性の側が気にする」と言う人もいます。逆に言うと、男性のみなさんは、相手の学歴が自分より高くても気にしませんか?
東大の女子学生が在学中に相手を見つけないと、と焦るのはこれが理由で、東大卒の女性の配偶者の実に約7割が東大卒です。といっても必ずしも在学中に見つけているわけではないので、「そんなに焦るな」と女子学生には伝えていますが。
このケースでは、東大女子の側には「自分と同等以上」という意識が薄いので、男性の意識のほうが効いているということになり、「男性の学歴下降婚」(男性は自分と同等以下の学歴の人と結婚したがる)と解釈できることになります。ただ既存の調査を見る限り、依然として「女性の」学歴上昇婚の要素のほうが強いのではないか、と思われるのです。
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