フェラーリだけの「モーターショー」開催の理由 9月に開かれたイタリアのイベントに参加

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プレゼンテーションルームでは、シアター型の客席でプレゼンを聞くことができた(筆者撮影)

続いて、そのモーターショーのスタンドのような展示を抜けて、さらに奥のプレゼンテーションルームへ招かれる。そこで新型8気筒モデル「F8スパイダー」が世界初公開されるというのだ。

確かにモーターショーでは、狭いスタンドのまわりを多くのメディアが取り囲む。プレゼンテーターの顔すら見えないし、クオリティーの高い写真を撮るのも至難の業だ。それが、今回はシアター型の客席に座ってゆったりとプレゼンを聞くことができた。

さらにサプライズのワールドプレミアが

さて、8気筒モデルの説明が終わり、普通ならクルマのまわりになだれ込んでのフォトセッションなのだが、進行から「まだ続きがありますから席を立たないでください」との指示が。すると、座っていた客席がアトラクションさながらに動き始めた。今度は目の前に、裏側に隠れていたもう1台のワールドプレミアカーが現われるという仕掛けであった。

「モーターショーのスタンドという、限られた広さで満足のいく展示をするのは、難しいものです。さらにフェラーリのようなクルマには、お伝えしたい世界観がたくさんありますから。また、フェラーリの顧客の皆さんは近年、モーターショーへいらっしゃらなくなっていますしね」とデパオリ氏は語る。

モーターショー期間の周辺で独自のプレスイベントを行うメーカーはあるが、ここまで徹底するとは……。まさに究極のモーターショーとも言えるものであった。

もはや、情報の発信方法も大きく変わり、ユーザーの受け止め方も同時に変化している。モーターショーが本当に求められているものは何なのか。送り手であるメーカー側と受け手である来場者の両サイドから再考すべき時期にきているのは間違いない。

越湖 信一 PRコンサルタント、EKKO PROJECT代表

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えっこ しんいち / Shinichi Ekko

イタリアのモデナ、トリノにおいて幅広い人脈を持つカー・ヒストリアン。前職であるレコード会社ディレクター時代には、世界各国のエンターテインメントビジネスにかかわりながら、ジャーナリスト、マセラティ・クラブ・オブ・ジャパン代表として自動車業界にかかわる。現在はビジネスコンサルタントおよびジャーナリスト活動の母体としてEKKO PROJECTを主宰。クラシックカー鑑定のオーソリティであるイタリアヒストリカセクレタ社の日本窓口も務める。著書に『Maserati Complete Guide』『Giorgetto Giugiaro 世紀のカーデザイナー』『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング』などがある。

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