フェラーリだけの「モーターショー」開催の理由 9月に開かれたイタリアのイベントに参加

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ところが、マーケットが拡大している中国をはじめとするアジア諸国以外でも、実は大きな存在感を保っているモーターショーが存在する。国際モーターショーの1つである、スイスで行われるジュネーブモーターショーだ。

今年開かれたジュネーブモーターショーの様子(筆者撮影)

スイスは自動車メーカーを持たないため、ジュネーブ空港に隣接した展示場の運営会社「パレクスポ」がショーを主催する。そのため、開催国メーカーの思惑に左右されず、ニュートラルな運営に徹することができるのだ。会場はコンパクトで各スタンドも比較的質素だが、多くの出展メーカーが世界中から集まるのが特徴だ。名前も初めて聞くような少量生産メーカーが突然現われたりもする。

時代は屋外複合型モーターショーへ

なぜ、このジュネーブモーターショーが毎年大盛況なのか(現在、多くのモーターショーは隔年開催)。

それは、世界中の自動車業界関係者が集まり、もれなくメーカーの方向性をアピールできること、新しくレアなモデルを見つけて、その場で注文を入れる“上客”がそこに集まることにある。スタンドの規模にも制約があるため、出展コストもトータルでは抑えられ、ハードルが低いこともその理由であろう。

また、世界的なトレンドとして、屋外の複合型モーターショーへの流れが見受けられる。イタリアは、日本などと比べて比較的、自動車への関心が若い世代でも高いと感じるのだが、そこでもモーターショー劣勢は否めない。カーデザインのトレンドセッター的な存在であったトリノモーターショー、そして隆盛を誇ったボローニャモーターショーもすでに消滅してしまった。

しかし、イタリアにおけるクラシックカーのコンクールデレガンスや公道ラリー、サーキットイベントなど、クルマに関わるイベントの多さには驚く。近年はトリノモーターショーの系譜を引き継ぎ、トリノ市街の公園や旧市街のスクエアをベースとして開催された「パルコ・ヴァレンティーノ・モーターショー」は、大きな盛り上がりを見せた。

イタリアで開かれたパルコ・ヴァレンティーノ・モーターショー(筆者撮影)

「モーターショーはコストがかかりすぎます。各メーカーがスタンドの豪華さを競い、ごく短期間の展示のために多額をかけてスタンドを設営し、終わるとすべてが破棄される。これはメーカーも、そして来場者も求めていないことです」と、主催者のアンドレア・レヴィ氏は語る。

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