丸太小屋で育った「Slack」創業者が貫く信念 CEOが語る経営、ものづくり、生い立ち(後編)

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――著名な家具のデザイナーですね。

彼が言うに、デザイナーの役割はよいホスト(主人)になること。プロダクトのユーザーは、ゲスト(客人)であると考える。彼らのニーズは僕たち自身がやりたいと思うことよりも重要だ。「心遣い」なんだと思う。日本にはそういうホスピタリティーを持つすばらしい文化がある。

レストランのオーナーは自分たちの印象をよくすることを考える。だから食べ物の写真を見せて、見る人のお腹をすかせたがる。だがユーザーはそんなことを気にしない。情報を知りたいだけなんだ。

スラックが成功しているのは、エンドユーザーのニーズを熱心に考えているからだと思う。僕たちは、たくさんのソフトウェアを売る企業とは違う。マーケティングの仕事をしている人に、「セールスフォース」やマイクロソフト「ダイナミクス」などCRM(顧客関係管理)ツールが必要というのは明らかだ。

スラックは新しいカテゴリーのプロダクトなので、そもそも何なのかということから説明しなければならない。たいていの人はスラックが必要かどうかもわからない。

通知であふれないようにする機能

――具体的な機能にはどう落とし込まれているのでしょうか。

いくつか例を話そう。ログインをするときにスマホでパスワードを打つのはおっくうだ。安全に使用しようとするほど大文字と小文字を混ぜなければならず、スマホでの入力は大変だ。僕たちが作ったのは「マジックリンク」という機能。ログイン画面でメールアドレスを入れるとリンクが送られ、クリックするとログインが完了するというものだ。

チャンネルにいる人全員をメンションする「@Channel」の機能は、全員に通知が行ってしまうため、従業員のタイムゾーンが複数にまたがる場合はアラートが出る(画像:Slack)

あとは通知。スラック上では(Eメールと比べて)10倍、100倍のメッセージを受け取ることになる。その一つひとつを受信するたびに通知されたくはない。だから通知をするのはダイレクトメッセージを受信したときか、チャンネルで誰かがあなたをメンションしたときに限っている。1通1通の通知を受け取るのを、連続して使い始めた最初の数分だけ、50通に達するまで、といった条件を設定することもできる。こういう例は枚挙にいとまがない。

――無理な働き方を防げると。

そうだ。「おやすみモード」といって、就業時間後の通知をオフにすることもできる。あとは「@Channel」と書いてチャンネル全体をメンションすることで、全員に通知できる機能もあるが、例えばグローバル企業であれば、社員のいる場所が複数のタイムゾーンにまたがっている場合がある。

ある国では就業時間内でも、ある国ではそうでないかもしれない。そういう場合に、「本当にメッセージを送りますか?」というアラートが出てくる。

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