東芝、10年ぶり好決算で「名門復活」は本物か 親子上場解消へ、上場3社を完全子会社化

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最近も保有するIHIやジャパンマテリアル株を次々売却しており、2015年から現在まで上場株式の売却額だけで約2600億円にのぼる。さらには、稼ぎ頭だった半導体メモリー事業を2018年に約2兆3000億円で売却するなど、キャッシュ捻出に奔走してきた。

しかし、今回の上場3社の完全子会社化により、東芝が違うフェーズに入ったことを示した。では今回、2000億円を投じてまで、上場3子会社を買収する必要はあったのだろうか。

完全子会社化はガバナンスの問題

東芝の車谷暢昭会長兼CEOは13日の決算説明会で「東芝にとって必要不可欠の3社だから」と繰り返したうえで、「上場子会社の問題は日本の産業界におけるガバナンスの大きなテーマでもある。そういう意味で優先順位が高かった。これだけのキャッシュを使ってM&A案件がほかにあるかというと多くない」と述べた。

そして、「社内の成長分野に投じるにも手順が必要だ。子会社の3社ほど1株利益が上がってシナジーを取れるものはほかにはない。株主にも成果を還元できる。グループ内の自社株買いみたいなものだ」と説明した。

実はこれに先立ち、東芝は10月に社外取締役と海外株主とのグループミーティングを実施し、海外投資家から上場子会社を問題視されていた。ミーティングに出席した、ある海外投資家は「東芝の大きな競合相手である日立は上場子会社を売却し、非常に戦略的に事業を集中するなどリストラクチャリングを行って成果を出してきた。東芝は今のところ劣勢だが、これから日立などにキャッチアップし、さらには追い越していくためにどうするのか」と質問した。

これに対して、社外取締役で取締役会議長の小林喜光氏(三菱ケミカルホールディングス会長)が「日立も上場子会社を今4つまで減らした。東芝も上場子会社の議論は相当今深くやっている」としたうえで、「M&Aはものすごく大きなものは別として、それぞれの事業を補完するというレベルではどんどんアグレッシブにやっていきたい。もう心は成長フェーズになった。上場子会社問題、M&Aを含めて分析していく」と応じた。

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