東芝、10年ぶり好決算で「名門復活」は本物か 親子上場解消へ、上場3社を完全子会社化

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こうした自信の裏返しともいえるのが、同じ13日に発表した2019年4~9月期決算だ。

車谷会長は「年間1400億円の営業利益に向けて順調な滑り出し」と語る(撮影:尾形文繁)

「東芝にきてちょうど1年半。上期決算はメモリを除くとここ10年で過去最高益。全セグメントで黒字化して増益となったのはここ10年で初めて。(2020年3月期通期で目標としている)年間1400億円の営業利益に向けて順調な滑り出しだ」

車谷会長がこう語るように、東芝の業績は急回復している。本業の儲けを示す営業利益は前年同期比約7.5倍の520億円と大幅増益を記録。受注案件を精査して赤字プロジェクトが減ったほか、全社的な取り組みである調達改革や構造改革、人員削減などが大きく効いた。

東芝テックの子会社化は見送りに

三井住友銀行出身の車谷会長は2018年4月に東芝の再建を託された。2019年4月から中期経営計画「東芝Nextプラン」をスタートさせ、リストラを主導。6000億円にのぼる大幅増資によって株主となった「モノ言う株主」は車谷会長の手腕を注視していたが、まずは及第点と言えるだろう。

もっとも、東芝がリストラから成長段階に移れるかは未知数だ。車谷会長が以前から高く評価していた上場子会社でPOS大手の東芝テックについて、今回は完全子会社化を見送った。車谷会長は「データ事業で戦略的にどう企業価値を上げていくべきか、さまざまなモデルは検討している。ただそれに必要なお互いの組み方が何か、確信を持てる議論ができていない」と述べるにとどめた。

2019年4~9月期の業績も、営業利益以下をみると、最終損益は1451億円の赤字に転落した。アメリカのLNG事業の売却損892億円のほか、約40%出資する持分投資会社で、半導体メモリ大手のキオクシア(旧東芝メモリ)で613億円の損失を計上したからだ。キオクシアは早期の上場を予定しており、今後東芝が同社株を保有し続けるのか注目される。

目先の業績のV字回復が見えてきたかにみえる東芝だが、日立などライバルに再び追いつくことができるのか。道のりはまだまだ長そうだ。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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