今の株価は「米中部分合意」を過大評価している

実体経済や企業収益と株価の差がハンパない

つまり、「中国としてはほとんど何もしないが、アメリカはいろいろとやって欲しい」、という要求にしか見えない。ところが、アメリカは10月15日に予定されていた、2500億ドル分の輸入に対する追加関税の25%から30%への引き上げを、すでに無期延期した。

さらに諸報道では、12月15日に計画されている、1600億ドルの輸入(スマホ、ノートパソコン、玩具など)への15%の追加関税を行わない、あるいは、9月1日に1100億ドルの輸入(ワイヤレスイヤホン、スマートウォッチ、デスクトップPCなど)に課した15%の関税を、一部でも遡って撤回するのではないか、といった観測まで浮上している。

「対中穏健派」と「強硬派」の綱引きはなお継続

たとえアメリカ側の一方的な譲歩であろうと、関税の撤回により、世界経済が改善し株価が上がることは結構なことだ。

しかし、つい最近までトランプ大統領の発言は、政権内の対中強硬派(ロバート・ライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表や、ピーター・ナバロ大統領補佐官など)の主張に沿った内容であった。たとえば9月にトランプ大統領は、部分合意の可能性はあるが、前述の構造問題を含めた全体合意が望ましい、と述べている。ところが、対中姿勢の軟化が急速に進んだわけだ。

当然、そうした大統領の姿勢は、対中強硬派にとっては面白いはずがない。11月7日(木)には、ロイターが、追加関税を段階的に撤廃すると中国と合意することについて、政権内で強い反対論があると報じたし、ナバロ補佐官は同日のFOXビジネステレビのインタビューで「現時点では既存の関税を撤廃するという合意はない」と語った。さらにトランプ大統領自身が、8日(金)に、ホワイトハウスで「中国は関税の取り下げを求めているが、私は何も合意していない」と述べている。おそらく背景には、強硬派の巻き返しがあると推察される。

今後、トランプ大統領が対中強硬派を振り切って、「中国側の提案の中身がないが、関税を撤回する」といった部分合意にまい進するのか、それとも強硬派の懐柔策が功を奏するのかは、不透明だ。

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