とはいえ、4団体の中でも最小の団体だけにエリアによってはチーム数が少なく、大会の運営が難しいケースもある。筆者はポニーのチームをいくつか取材したが、ボーイズやリトルシニアのチームに比べて選手数や指導者数が少なく、施設も見劣りするチームもある。スケールメリットがない点が、やや苦しいところか。
ただ、「球数制限」などの改革について、父母や指導者に話を聞くと、大きな抵抗感はないようだ。「うちはポニーだから、そういう改革をするのは当然のこと」「ほかと違う指導方針が気に入って子どもを入れたのだから、大歓迎だ」と前向きな意見が多かった。
筆者は「ジャイアンツカップ」など、他団体のチームと対戦する“他流試合”のときはどうするのか?と聞いたが、那須事務総長は「他団体も“球数制限”を検討しているが、決まったルールの中で試合をする。当面、他流試合では制限はしない」とのことだった。このあたりも課題だろう。
しかし、ボーイズリーグでは、東日本ブロックが、一部大会で球数制限を導入している。ほかの団体も手をこまねいているわけではなく、改革の機運も起こっている。
会見にも出席した慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師は、今春から少年硬式野球チームの「館林慶友ポニーリーグ」を立ち上げた。
「うちには1年生が13人いるが、ピッチャーができる子は7人くらいいる。どの試合も4人くらいで投げていて、結果的に勝ったりしている。みんな2回30~40球で交代しているが、意外に四球も少ない。
実際に試合で先発、中継ぎ、抑えをローテーションで経験することで、自分がどこに向いているかもわかるし、子どもたちが、自分ですごく考えるようになった。今の球数無制限の野球では、おそらく先発完投型の投手しか育てられないはずだ」と語った。
努力は夢中に勝てない
報道陣を驚かせたのが広澤克実理事長だ。明治大からドラフト1位でヤクルトに入団し、巨人、阪神でプレーした。まさに「昭和の野球」の王道を歩んだ野球人だが、今や革新的なポニーリーグの旗振り役になっている。
「私の師匠の野村克也氏は“努力に勝る才能なし”と私たちを指導してきた。時間を経て、今の若い子は楽しみたいと言っているが、それは私にはわからなかった。私たちの時代は嫌なことに耐え抜くのが野球だった。
しかし、今は“努力は夢中に勝てない”のだという。今度、野村克也さんに会ったら、今はこうですよ、と言ってやろうと思う。今の子どもには夢中になってほしい」と話した。
岩盤のように変化しないと思われている日本野球だが、こういう形で少しずつ変化の兆しが現れているのである。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら