少年野球で大改革起こすポニーリーグの現在地 今のトレンドを先取りする画期的な取り組みだ

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また1週間での球数を以下のように変更し、ブルペンでの80%以上の強度での練習投球も含むとした。

中学1年生 180球 変化球は禁止
中学2年生 210球
中学3年生 240球

ポニーリーグは2017年に本部のあるアメリカから「ピッチスマート」を導入するように指示があったが、年齢の刻み方が違ううえに、球数の区切りが細かすぎたために、そのまま導入するのではなく今春から「1試合85球」という暫定的な目安を作って、テスト的に運用していた。

またスポーツドクターとして「球数制限」の導入を推進している古島医師のアドバイスも得て、今回の投球制限の導入に踏み切った。

注目すべきは「球数制限」によって「先発投手が存分に投げられなくなる」というマイナス思考ではなく、積極的に投手の障害予防を図りつつ、多くの選手の中から投手としての才能を見いだす取り組みを「PONY SUPER PITCH」としてポジティブに取り組んでいく、という考え方だ。

日本野球ではエースの「先発完投」が基本的なスタイルになっているが、その陰で二番手以下の投手がマウンドに上がる機会が奪われている。

まずは意識づけが重要

ポニーリーグでは「仲間を信じてマウンドを譲れる心を持つ選手がPONYスーパーピッチャー」と定義し、継投を基本とした野球のスタイルをさらに推進していく。

また試合だけでなく週間の投球数も定めた。この中には「80%以上の強度での練習投球」も含まれる。記者会見の席上「80%の定義」についての質問も出たが、「まずは意識づけ」であると答えている。運用をしたうえで、規定を見直していくということだ。

② 国際標準バット(USAバット)の導入

来年度は1年生の大会に限定して、USAバットの使用を義務付ける。USAバットはいわゆるBBCOR仕様のバットで、反発係数が低く、スイートスポットで打たないといい当たりが飛ばない。アメリカのアマチュア野球ではBBCOR仕様以外の金属バットは、試合では使用できない。これも1年生から導入し、2年生以降は、来年の状況を勘案して導入を検討するとしている。

③ 試合中の言動マナーに関するイエローカードの導入

怒声、罵声などを伴う指導や応援については、審判、球場責任者にイエローカードの発行権を付与。人が不快と感じる罵声や言動が見られた場合は、カードを発行する。

また、喫煙場所を確立し、ここでの喫煙を守らない関係者に対しては、役員、球場責任者の裁量で注意喚起、および大会本部への報告をするとしている。喫煙者は、選手の視界に入らず、喫煙者以外が受動喫煙しない喫煙場所に限定して喫煙が認められる。

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