池上彰が解説「今さら聞けない新聞の読み方」 新聞ごとの論調にどのような違いがあるのか

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では、私自身は、毎日どのように新聞を読んでいるのでしょう? これは新聞が大好きなジャーナリストの特殊な例ですので、あくまでご参考までに。私は新聞を読む時間を、朝晩に分けています。

毎朝、自宅で目を通す紙の新聞は12紙。『朝日新聞』『毎日新聞』『読売新聞』『日本経済新聞』、連載を持っている『中国新聞』、故郷の『信濃毎日新聞』『朝日小学生新聞』『毎日小学生新聞』です。そのほか、『ウォール・ストリート・ジャーナル日本版』は電子版で購読しています。さらに『河北新報』『京都新聞』『神戸新聞』『大分合同新聞』は郵送で届きます。

朝はざっと目を通すだけ。見出しだけを見て、1面から最後のページまで、とにかく一度「飛ばし読み」します。時間は紙の新聞すべて合わせても20分程度でしょう。見出しには記事の内容がひと目でわかるよう要約されていますから、大体の内容はわかります。

「左ページ・右上」に注目!

時間がないときは、左ページに目を通すだけでもいいでしょう。1面・3面などの左ページ、中でも右上に重要なニュースが載ることが多いのです。

家を出ると、駅のキオスクで『東京新聞』と『産経新聞』を買い、電車の中で読みます。本文を読むのは夜、寝る前です。紙の新聞14紙に改めて目を通します。見出しが気になったら、記事の「リード」を読み、さらに興味が湧いたら本文を読みます。1時間程度になるでしょう。

気になった記事は、ページごと破ってクリアファイルに入れます。キレイに切り取ったり、分類したりといった手間はかけません。ページごと破るので日付もわかります。破り取った記事はクリアファイルに入れたままです。しばらく「寝かせる」のです。

新聞記事の価値は、後になってわかることが多いのです。いくら大きく取り上げられていても、実はどうでもいいニュースかもしれません。たまたま大きなニュースがなく、スペースがたっぷりあっただけかもしれません。だから、時間に判断してもらうのです。

数週間後、改めてチェックしてみて、不要だと思えば捨てます。必要な記事ならば、「政治」「経済」「国際情勢」「文化」といった大きなジャンルに分けて、クリアファイルに入れておきます。記事がたまってきたら、「政治」なら「自民党」「他野党」など、さらに細かくジャンル分けしたクリアファイルに保存します。

このやり方をそのまままねするのは一般の人には現実的ではありません。まずは新聞を1紙購読することから始めましょう。そして、1日5分でもいいので、毎日、新聞に目を通す習慣をつける。ここからスタートするとよいでしょう。

初めは興味のある記事だけ読んでいれば大丈夫です。毎日読んでいるうちに、知識が蓄積されていくため、徐々に早く読めるようになっていきます。早く読めるようになれば、これまで興味のなかった記事を読むゆとりも出てきます。

今や、新聞を読んでいる人は多くありません。「新聞を読む人」は、毎日少しずつ、「読まない人」に差をつけていけるのです。

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