「外国人調理師」がこれからの日本に必要なワケ 辻調校長「日本ではかなり小規模の店が流行」
日本政府観光局の調べによれば、2019年9月の外国人観光客数は約227万人。前年同月比に比べても5.2%増加となっている。韓国からの観光客数が昨年の半数程度に落ち込んだとは言え、増加傾向は続きそうだ。2020年を見据え、観光地、交通機関、宿泊施設などの整備も進んでいる。
そんな中課題となっているのが「食のグローバル化」だ。世界からの来訪者を迎えるにあたり、イスラム教のハラルフードのような宗教上の制約から始まって、ビーガン、グルテンフリーなど、多様な食のスタイルに応えられるよう、体制を整える必要がある。もちろん、外国語対応や添加物、アレルギー食材のわかりやすい表示なども必要だろう。
調理師専門学校の留学生も増えている
また食の担い手である調理師も、国際化が進みつつあるようだ。2019年4月から外国人労働者の在留資格に「特定技能」が導入されたことを受け、外食産業の分野でも外国人をフルタイムで雇用することが可能となった。日本の調理技術は海外で高く評価されており、近年では、調理師専門学校の留学生も増えてきている。大阪市を拠点とする辻調理師専門学校では、留学生を本格的に受け入れ始めた2010年以来、年々学生数が増えており、2019年度には374人の外国人学生に授業を行っているという。
こうした食のグローバル化への対応は、実際どの程度整備されてきているのだろうか。また課題となるのはどのようなことか。辻調理師専門学校校長の辻芳樹氏に聞いた。
「一言で言えば、食のグローバル化対応は都会ではホテルを中心として、かなり進んできていると言えます。ただし、個人店、地方ではなかなか追いついていない。都会に限っても、2020年までに完全に整備するのは難しいでしょう」(辻氏)
辻氏は2019年6月に開催されたG20大阪サミット、2000年の九州・沖縄サミットで各国の首脳に提供された食において、監修・調理協力を行った。
特に大阪サミットの首脳夕食会では、日本食を中心に提供する中で、多様な食文化への対応に心を砕いたという。
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