「外国人調理師」がこれからの日本に必要なワケ 辻調校長「日本ではかなり小規模の店が流行」

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具体的には、事前に出席者にアレルギーの種類や、食のスタイル、水の温度の好みに至るまでの細かいアンケートを行ったほか、食材の輸送、仕込みなどすべての段階において、食材が混ざらないよう管理を徹底させた。コースはハラル、ビーガン、グルテンフリーなどの7通り、メニューもスペイン語、トルコ語など5カ国語をそろえた。

日本で開催されるサミットの夕食会ではこれまで伝統的にフランス料理が提供されてきた。九州・沖縄サミットで初めて、地元食材を使った料理が取り入れられたそうだ。

今回、辻氏が食材調達において痛感したのが、国際基準への対応の遅れだ。

「食材のサステイナビリティ」の重要性

グローバルな視点からは、世界的目標であるSDGsを踏まえ、食材のサステイナビリティも当然重視する必要がある。食材のサステイナビリティとはつまり、人の健康や土壌への負荷低減、将来にわたる資源の確保、食材調達面で不当な労働力を用いないなど、広い範囲にわたり持続可能性を検討することだ。

国際基準としては、農産物に関わるGLOBALG.A.P.認証や、海洋資源の持続可能性を守るMSC認証がある。今回のサミット夕食会においても、できるだけ国際規格を踏まえた食材調達を心がけたが、食材すべてにわたって、というわけにはいかなかった。

「東京オリンピックには間に合わないとはいえ、遅くとも2025年の大阪万博までには、整備する必要があります。政府が進めるべき課題ですが、料理人自身も問題意識を持ち、声を上げていくことが求められます」(辻氏)

東京・国立にあるエコール 辻 東京。日本料理、フランス・イタリア料理、製菓などの課程がある(筆者撮影)

ただ、現状はそれほど悲観するべきものでもないという。国内でも食にまつわるさまざまな課題について高い意識を持った料理人が登場してきているためだ。以前から「サステイナビリティとガストロノミー(食の学問)の融合」に取り組み、サミットでも料理を担当した成澤由浩氏や、フードロスに取り組んでいる「フロリレージュ」オーナーシェフの川手寛康氏などが挙げられる。その他若手を中心に、生産者、加工業者、研究者など垣根を越えてSNSなどでグループをつくり、活動しているという。

「また、ハラルやビーガンなど多様な食の対応ももちろん必要なことで、そうした細やかな対応だけが『おもてなし』と思われがちなのですが、海外の人に日本の魅力を伝えるうえでは、日本のありのままの味覚を提供するのも重要です」(辻氏)

では、外国人調理師についてはどうだろうか。今までは、例えば辻調理師専門学校で学んだ留学生は、母国などで就職したり、開業するケースが一般的だった。しかし先述のように、新たな在留資格として特定技能が認められたため、今後は最長5年間の在留期間の中で、日本国内で働くこともできる。

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