ところが婚活の出会いは、違う。結婚相談所に特化して言うなら、“結婚相手を探す”という目的のもと、まずはプロフィールで条件が提示される。“この条件の人なら会ってもいいな”という者同士が1時間程度のお見合いをし、“感じがいい人だな”と思ったら交際希望を出す。この時点では、お互いの人間性を十分にわかっていないし、コミュニケーションも密に取れていない。
枠はできたけれど、中身は空っぽの状態なのだ。そこで、毎日のメールやLINEをしたり頻繁に会ったりすることでコミュニケーションをとりながら、気持ちを重ね、枠の空洞を埋めていく。その空洞を埋めるには、時間もエネルギーも半端なく使う。その時間を作り出せない人、エネルギーを使うのを面倒だとかおっくうだとか思っている人は、婚活市場での結婚には向かない。
私は昌平に言った。
「結婚相談所に登録して、お見合いを繰り返していればいつかは結婚できると思っている人たちがいるけれど、それは大きな間違いなんですよ。結婚できるのは、積極的に動く人です。お見合いして交際に入り、出来上がった枠にコミュニケーションを重ねながら、気持ちを埋めていける人たちなんですよ。だから相手が動かないと思ったら、さっさと交際終了にするの」
「どんなに相手を好きでも、ですか?」
「一目惚れという言葉があるけれど、1、2度会って相手を好きになってしまったのなら、相手のペースに合わせて待つのも仕方ないかもしれないですね。ただそのとき、自分に言い聞かせるのは“愛は無償”という言葉です。動かない相手に合わせて、1年後にダメになったとしても、“時間を返せ”なんて不平不満を言わない。それは自分が選択したことなのだから。ただ、動かない相手との結婚は、まずないですよ」
毎日LINEを送り合い、週1のペースで会った
入会面談でこんな話をして、昌平は私の相談室で活動をすることになった。いくつかのお見合いをしたのだが、交際になっても1、2度食事をすると終わってしまうことが続いていた。
そんな中で、先述した真知子に出会った。真知子とは、お見合いの後、毎日LINEを送り合い、週1のペースで会い、いい関係を育んでいるようだった。
あるときこんな連絡がきた。
「本当に偶然なんですが、真知子さんの親戚が僕の家のすぐ近所だったんですよ。これもご縁なのかなって思いました」
昌平は、九州地方出身なのだが、もう実家に帰ることはないだろうと、郊外に一軒家を買っていた。
「この間の日曜日、親戚の家に来た真知子さんが、僕の家にも遊びに来たんです。『庭があるから、ちょっとした家庭菜園もできるし、友達を呼んでバーベキューできるね』って、言ってました」
そして、その後、真知子の相談室から“真剣交際”の申し入れがあった。
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