インドと日本はまったく違うようで似ている
【最終回】ぼくはインドが大嫌いで、大好きだ。

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インドは遠い? 遠いのは人間同士の心の距離

1964年に行われた東京オリンピックの招致プレゼン。

立候補した東京は、まさか選ばれるわけがないと世界から思われていた。

しかし、プレゼンの持ち時間が45分だったにもかかわらず、わずか

15分の感動的なスピーチによって大逆転を収めたという。

その内容は、こういったものだ。

 

ヒコーキが飛ぶ今、世界の距離はぐっと縮まった。

だから、私たちのことをもうFar Eastと呼ばないでほしい。

遠いのは人間同士の心の距離だけです。

物事は見ないと理解できない、だから、東京を見に来てください。

 

これは、すべてのことに通じる話じゃないかと思う。

この東洋経済オンラインで10回分、現地からライブ感あるインドの

今を書かせてもらった。でも、ぼくがいちばん伝えたかったのは、

インドを見に来てください、ということかもしれない。

 

インド人はよくしゃべる。語調もアグレッシブだ。

行く前から、そう不安に感じていたけれど、これを現地でインド人に

言ってみたら、A barking dog never bites.だよ。と言ってくれた。

ぼくを安心させようとしてくれたのか、とても意外な答えだった。

インドはカオスでクレイジー、外国人であるぼくが親しめるのか、

行く前から、それも不安だったけれど、行ってみて感じたのは、

インドは、とにかく混ぜて混ぜて、ひとつにする文化だ、ということ。

カレーなんて特にそう。いろいろ混ぜて混ぜて、カレーにする。

だから、ぼくもインドに飛び込めてひとつになれたような気がした。

みんなが理解できるものは、シンプルで、簡単で、ひとつ、という

基本ルールがあるのだと思う。

自分が知っていると思ってたことも、実際に見たものとは正反対だった。

知らないこともたくさんあって、人の話を聞くより、ずっと衝撃的だ。

いいところも、悪いところも。

 

今、インドは、大きく変わり続けている。

政治や経済や文化において、インド人はあらゆる選択に迫られている。

そんな状況に、アギーが言った言葉が忘れられない。

「私たちにはいつも2つの選択肢しかないんだ。

それは、正しい選択をするか、選択したものを正しくするか」

今までのぼくなら、選択が正しいか吟味する、を選んだだろう。

でも、それではいつまでも結論にはたどり着かない。

世界で活躍するインド人のたくましさや魅力は、こういった独特な

考え方から来ているのかもしれない。

ぼくはインドが大嫌いで、大好きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三浦 北斗 コピーライター CMプランナー

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みうら ほくと / Hokuto Miura

1982年、愛知生まれ、福岡育ち。2006年、慶応義塾大学SFCを卒業後、電通に入社。広告制作をはじめ、バンダイ就活応援ソングなど作詞作曲も多数手がける。海外の現地クライアントの広告制作も経験する、新世代の若きクリエーター。ニューヨークフェスティバル、読売広告大賞グランプリ、TCC新人賞など、受賞多数。

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