日清「ラ王」CMの子役に主婦たちが癒されたワケ ラグビーW杯で大正製薬や三菱地所も高評価

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このほか、情報のインパクトを左右する大きな要因として「タイミング」が挙げられる。同じメッセージや出演者であっても、いつ情報を受けるかで記憶の残り方はかなり異なる。例えば今期では、3000作品以上のCMがオンエアされたうち16位と20位にラグビーに関するCMがランクインした。

16位は大正製薬『リポビタンD』で、ラグビー日本代表の主将リーチ マイケル選手が、来日してからの日々を感謝とともに振り返り自身を奮い立たせるというストーリーだ。

リポビタンD「日本への熱き想い」篇(taishomovieより)

20位の三菱地所は、高畑充希がさまざまな表情を持つ丸の内という街を紹介するシリーズCMの第4弾。ラグビー熱の高まりを受けて、照英らビジネスマンたちがスクラムを組みながら名刺交換をしたり、リフトアップしてタクシーを止めたりと街中が盛り上がる様子をコミカルに描いた。

情報を受けるタイミングの重要性

どちらのCMもラグビーワールドカップ開幕以前からオンエアされていたが、日本代表の好成績に伴いCM好感度を伸ばした。とくにリポビタンDは、今期よりも旺盛に出稿していた6月と比べCM好感度は一気に3倍以上に跳ね上がり、モニターコメントには「今が旬のCM」「ラグビーワールドカップの盛り上がりに比例して印象深くなっていると思う」「ラグビーワールドカップで日本が盛り上がっている中、印象的なCM」といった感想が並んだ。

三菱地所は前述のCMのほかに、「同じじゃないから、強いんだ」をコピーに、個性の異なるふたりの少年がラグビーを通して成長する姿を描いた特別CMを開会式と試合中継の番組内限定でオンエア。番組が高視聴率だったこともあり、今期はわずか9回という放送回数ながら親和性が高く視聴者の心に響きやすい内容でCM好感度を獲得し、SNSなどでも話題となった。

「よくあるわかりやすいストーリーではあるが、ラグビーW杯でラグビー熱が高まっている時期なのでよかった」と記述したモニターもおり、情報を受けるタイミングがいかに消費者の印象に影響を与えるかがよくわかる。

ビジネスシーンでもよく言われることだが、「伝える」と「伝わる」はまったく違う。どのように言うか、いつ言うか。CMも企業と消費者のコミュニケーションである以上、やはり受け手を取り巻く情報環境や心の動きにフィットさせる工夫をしているCMかどうかで、広告効果に差が生まれる。

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