「Uber Eatsつけ麺事件」があぶりだした問題点 「シェアリングエコノミー」を知らなすぎる
発注者は配達人のプライベート情報を知ることはできない。配達人に清掃や投棄した食事を持ち帰るよう促したくとも、発注者は連絡できないため、石野さんは自分自身で片付けをした。
その後、石野さんには「配達人を特定した」との連絡が入ったようだが、具体的な対策などについては言葉を濁したという。「利用者に後片付けや警察への通報などの負担を求めるのか?」の質問を筆者もUberに投げてみたが、「改めて対策を検討し、サービスの向上に努める所存です」と述べるにとどまっている。
当事者間だけでなく社会全体の認知も求められる
Uber Eatsはスマホアプリを通じ、加盟店が提供するテイクアウト可能な料理をUber Eatsに登録した配達員が届けるサービスだが、元はUber発祥の地であるアメリカで登録ドライバーが空き時間を使って食事を配達するというアイデアから始まったサービスだ。
アメリカで利用すると、黒塗りのリムジン運転手が届けてくれることも多い。街中のいたるところに多数の契約ドライバーがいるアメリカUberならではの効率のよい配達代行サービスともいえる。
一方で日本でのUberは法的な制約もあり、シェアリングエコノミーとしての性格よりも、タクシー/ハイヤーの配車サービスの性格が強い。いわゆる”白タク”であるUberXも、同じ車両を複数のグループが共有して移動手段を提供するUberPoolも実現していない。
一方でUber Eatsで配達員には資格や営業許可といった法的な制約がないため、アメリカで提供されているUberのサービス(UberXやUberPool)に近い、個人と個人を結び付ける仕組みになっている。
民泊なども含め、こうしたシェアリングエコノミーと既存サービスとのギャップが生むトラブルや行き違いは、さまざまな業界で今後も起こりうるだろう。プラットフォーマーには、問題発生時の迅速な対応を求めたいが、一方で社会全体としてシェアリングエコノミーにどう対処していくのか、法律面での整備も含めて見直す必要があるだろう。
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