「Uber Eatsつけ麺事件」があぶりだした問題点 「シェアリングエコノミー」を知らなすぎる

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また食事が不完全な状態で届いた理由には、配達人個人のモラルだけではなく、遅配の原因と推測されるダブルピック(2つの注文をまとめて配送すること)の指示や、AIによる配達時間予測、ルート案内など、システム側の不完全さにも理由があると推測される。

いや、たとえUberのシステムに瑕疵がなかったとしても、ここは「(第三者の視点から見た)一般的な出前サービス」に近い対応をすべきだったはずだ。

こうした”個人と個人”を結び付けるサービスでは、利用者に安心を届けるため、一定水準以上の結果が得られるよう工夫することが肝要だ。でなければ、個人間サービスのマッチングなど安心して使えない。

だからこそUberの配達人になるには書類審査以外に、Uberオフィスに出向いての面接が必要になる。他のシェアリングエコノミーも同じだ。リソースの個人が提供し、個人の裁量でサービスが実施される危うさ、脆さをプラットフォーマーがラッピング(包装する)ことで成立している面がある。

本件に関しても、Uberは手数料の中に想定しうるトラブルに対処するコストを織り込んでいるはずだ。プラットフォーマーとして、一定水準以上のサービスを実現するための責任を負うべきではなかったのか。

Uber日本法人に問い合わせた

Uber日本法人は、この件をどのように捉えているのだろうか。

「悪質だと客観的に判断される行為についてはパートナー・お客さまへの警告(状況に応じたアカウント措置)など必要な措置を取っています」
と配達人に問題があった場合は、Uberから配達人への何らかのペナルティを与えるとしたうえで、「万が一到着した商品に問題があった場合、Uber Eatsアプリからヘルプページを通じてお問い合わせをいただくお願いをしています。確認が取れ次第お詫びとともに状況に応じて一部または全額ご返金をさせていただいております」と、利用者に被害が及ばないよう対処していると主張している。

また、今回のケースのようにマンションの共有部への投棄など、モラルだけでなく無関係な第三者にも迷惑となりうる問題に関して、Uber自身が解決することはないのか?と問い合わせてみたところ、明確なガイドラインを配達員に周知しているとしたうえで「アプリにおけるフィードバックや評価機能により、パートナーおよびお客さまの悪意ある行動などを阻止することができると考えています。 なお、悪質だと客観的に判断される行為については配達パートナーへの警告・アカウント停止など必要な措置を取っています」と、システム上の相互評価による実装で問題解決できると主張している。

もっとも、釈然としない部分は多く残る。

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