「Uber Eatsつけ麺事件」があぶりだした問題点

「シェアリングエコノミー」を知らなすぎる

受け取り拒否をしたつけ麺は、マンションの共有部に捨てられていた(撮影:石野純也)

これら一連の経緯を、投棄された食事の写真とともに発注者がSNSに投稿したところ、食材の投棄がネットで炎上したうえ、ニュース番組で取り上げられるなど騒ぎが拡大したのだが、おそらく”なぜ炎上したのか”、多くの読者は想像できないのではないだろうか。

発端となった発注者が知人のジャーナリスト・石野純也氏であったため、一連の流れを自然と知ることになったが、騒ぎが拡大した背景には、3つの理由があるように見えた。

1つは、Uber Eatsが提供するサービスが、「食事の配達(出前)」そのものではなく、出前サービスを提供する配達員と発注者とを結び付ける「マッチング」であることが広く周知されていないことだ。今回、SNSをめぐる議論の中では少なからず「食事の出前」と同じ感覚での発言が見られた。

2つ目は、Uber Eatsで収益を上げている配達員が、直接、発注者として問題提起をした人物にクレームや事実確認を繰り返し行ったことも拍車をかけた。「普通の出前」と同様に捉えられると、「Uber Eats全体のサービス品質が悪い」と、自分たちの仕事にも関わってくるからだ。

配達員は、それぞれ個人としてマッチングサービスを利用して仕事を得ているため、Uber Eatsの信頼感が落ちることは自らの収入に直結する。発注者は携帯電話事業や端末に詳しいジャーナリストの石野純也さんで、問題を提起したツイッターアカウントに1万1000人のフォロワーがいたことも、危機感をあおる理由だったのかもしれない。

3つ目は、Uber側が配達人による料理の投棄に対して極めて消極的だったことがある。Uberが、”移動手段を持つ個人”と”移動手段(移送手段)ニーズを持つ個人”を結び付けるサービスでしかなく、サービスそのものは個人間で提供されるのだから、当然の対応ともいえる。投棄したのは配達人であり、Uberではないという主張には、一定の理もある。

「第三者の眼」からどう見えるかが重要

しかし、Uberというブランドを持つコンシューマー向けサービス事業者として、正しいリスク管理かといえば、そうはいえない。いったん「シェアリングエコノミーであること」を脇に置いて考えてみよう。

予定到着時刻を30分以上過ぎて到着し、つけ麺のつけ汁が大多数失われていただけではなく、配達人が料理を無断で投棄していたことを考えればキャンセルそのものには道理がある。Uberもこれを受け付けた。

投棄された食事に関して、Uberからすれば「配達人に責任があり、雇用主でもない単なるキャスティングしただけの自分たちに、配達人への強制力はない」ものの、発注者や無関係な第三者から見れば、「Uber Eatsというプラットフォーム」が作ったゴミ。

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