日本中が「ラグビーにわかファン」で溢れる理由 4つの観点からW杯の盛り上がりを読み解く

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一方、地上波の放映権を持っているのは、日本テレビとNHK。両局は大会前からラグビーワールドカップを盛り上げるべく、さまざまな番組で、競技のルール、試合の見どころ、選手の特徴や横顔などを紹介し続けてきました。

ただ、「それらの番組が既存のラグビーファン以外に届いていたか」と言えば疑問。少なくとも「にわかファンの心を動かした」という意味では、「ノーサイド・ゲーム」ほどの影響力はありませんでした。

しかし、日本テレビとNHKの地道なPRは、大会開幕後にようやく効果を発揮し始めています。両局は試合の映像を使用できるうえに選手周辺の取材がしやすく、他局よりスポーツ番組や情報番組で取り扱える内容が充実。ラグビーに興味を持ちはじめたにわかファンたちの需要に応えるものを放送し、両局の番組は優先的に見られているようです。

また、両局の関係者にも、にわかファンが急増。大会前から「ラグビーワールドカップを何とか盛り上げたい」という切なる思いを抱えていましたが、日本が勝ちを重ねるにつれて、その先の欲が生まれはじめています。

「日本の決勝進出」を願う日本テレビ

当初から日本の準々決勝は、プールAを2位通過したら日本テレビが19日に放送し、1位通過したらNHKが20日に放送することが決まっていたため、アイルランドに勝った頃から「どちらになるのか?」と気をもんでいました。

結局、日本が1位通過したことで、NHKが20日の19時10分~21時50分に「日本vs南アフリカ」を放送することになり、日本テレビの関係者たちはガックリ。19日の放送は日本戦ではなく「アイルランドvsニュージーランド」になり、20日は「NHKの日本戦放送に『世界の果てまでイッテQ!秋の2時間SP』が食われる」という不安を抱えることになってしまったのです。

そんな日本テレビの人々が願っているのは、日本のさらなる勝利。日本テレビは、日本が準々決勝を勝ち抜いた先の27日に行われる準決勝2、さらに11月2日に行われる決勝の放映権を持っているため、「何としても勝ち続けてほしい」と全社を挙げて応援態勢に入っているようなのです。

「にわかファン」のほうが圧倒的に多く、そう自ら言い切れる気軽さがあるうえに、準々決勝以降は「負けたら終わり」のヒリヒリとしたトーナメント戦。にわかファンは、ますます増え、日本全国で盛り上がるでしょう。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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