日本中が「ラグビーにわかファン」で溢れる理由

4つの観点からW杯の盛り上がりを読み解く

この先も日本代表の試合は、準々決勝が20日(日)、準決勝が27日(日)、決勝が11月2日(土)で、3位決定戦に回ったとしても11月1日(金)と、やはり「週末ごとに1試合」のペース。相手は優勝候補の強豪ばかりですが、日本が勝ち抜くほど週末のフィーバーは続いていくことになります。また、日本以外の試合が盛り上がったら、「にわか」のフレーズが取れた本物の「ファン」が増えたことの証明となるでしょう。

放映権がないのに盛り上げたTBS

4つ目の理由は、今年6月13日に発売された池井戸潤さんの小説『ノーサイド・ゲーム』と、同作を実写化したドラマの事前アシスト。

とくに7月7日スタートのドラマ「ノーサイド・ゲーム」は、大学時代に名選手だった福澤克雄さんがチーフ監督を務めたため、ラグビーの魅力を凝縮したような作品となりました。「アストロズ」の選手を演じる俳優をラグビー経験者で固めたほか、ロケをラグビー聖地の1つである東京都府中市で行い、試合シーンもラグビーワールドカップの会場でもある熊谷ラグビー場で撮影するなど、細部にわたるまで本物志向。

さらに、大泉洋さん、上川隆也さん、西郷輝彦さんらがビジネスシーン、松たか子さん、市川右近さんらがファミリーシーンを彩り、ゲスト俳優に栃ノ心さんら力士、吉田沙保里さん、濱田岳さん、櫻井翔さんらを迎えたことで、「ただのラグビードラマ」に陥らず、のちのにわかファンにつながる間口の広い作品となったのです。

また、同作の主題歌だった米津玄師さんの「馬と鹿」は、現在TBSに限らずラグビーワールドカップに関わる各局の映像で多用。大会を盛り上げるとともに、米津さんのファンたちにもラグビーにはまっている人が多いようです。

同作は、ラグビーワールドカップ開幕直前の9月15日に最終回が放送され、まるで「続きはラグビーワールドカップで!」とパスを出しているようなメッセージ性すら感じさせました。事実、最終回の放送後、ネット上には感謝の言葉とともに、「ラグビーワールドカップも絶対に見る」という書き込みが殺到していたのです。

もともと同作を放送したTBSは、前述したドラマ「スクール☆ウォーズ」を2シリーズにわたって放送したほか、系列局の毎日放送が1970年代から「全国高等学校ラグビーフットボール大会」を中継するなど、ラグビーを最も知るテレビ局。ラグビーワールドカップの放映権がないにもかかわらず、大会を盛り上げた陰の立役者と言っていいでしょう。

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