日本中が「ラグビーにわかファン」で溢れる理由

4つの観点からW杯の盛り上がりを読み解く

プレーという観点から見ても、「フォワードたちが最前線で体を張って相手と戦い、その後方でバックスたちが統制の取れたラインを作って次の展開に備える」という役割分担は会社組織のようでもあり、フォワードが営業部や開発部、バックスが総務部や経理部にも見えてきます。

また、ボールを前方に投げられるアメリカンフットボールとは異なり、何度も相手とぶつかり合い、多くの人数でパスを回しながらジリジリと前に進んでいくラグビーの試合そのものがビジネスシーンに似ているのかもしれません。

そのほかでも、「勝利したら全員で輪になって『カントリーロード』の替え歌『ビクトリーロード』を合唱する」「出場機会のない控え選手たちが相手分析や水配りなどの献身的な働きをしている」「主将のリーチ・マイケル選手が“日本チームが選ぶマン・オブ・ザ・マッチ(最優秀選手)”の相手選手に日本刀を贈呈している(相手への敬意という意味)」などの心温まるエピソードに事欠かないのも、人々を引きつけている理由と言えるでしょう。

毎週末に訪れる盛り上がりのピーク

3つ目の理由は、ラグビーワールドカップが、夏季オリンピック、サッカーワールドカップと並ぶ「世界3大スポーツイベント」でありながら、これまで日本国内ではあまり注目を浴びてこなかったこと。

9月20日の開幕当初は、ネット上に「ラグビーワールドカップって、40億人が見るほどのイベントだったの?」「アジアで初めての開催って何気に凄くない?」という声が上がっていました。

ネットの普及で情報の多い社会になり、未知のものが少なくなった今、よく知らないビッグイベントの存在に気づいて、「これは面白い」と食いついたのです。しかも今回は「日本開催」という、にわかファンが盛り上がる最高のシチュエーション。「『サッカーワールドカップ』のときと同じように盛り上がればいいのだろう」という経験値もあり、にわかファンの数は右肩上がりで増えていきました。

大会が始まって驚かされたのは、日程の長さが功を奏したこと。ラグビーは肉体の消耗が激しく、「どのスポーツよりも試合間隔が必要」と言われています。今大会も開幕戦の9月20日から決勝戦の11月2日まで、約1カ月半にわたる長丁場であり、夏季オリンピックの約2週間、サッカーワールドカップの約1カ月と比べても、飛び抜けて長いことが盛り上がりをそぐのではないかと言われていました。

ここまで日本代表の試合は、開幕戦の9月20日(金)から、28日(土)、10月5日(土)、13日(日)と、「週末ごとに1試合」のペース。つまり、「1週間ごとに試合が行われ、しかもすべて週末」という日程が、にわかファンにとって応援しやすいサイクルだったのです。

「パッと盛り上がって終わる」短期集中型のイベントとは異なり、「週末ごとにピークを迎える」ラグビーワールドカップは、日本開催で時差がないことも含めて、なじみやすいものなのかもしれません。

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