ベトナム産コーヒーをブランドに変える仕掛人 東京の有名店や大手通販が続々と取引を拡大
同社の梶原和幸飲料原料部長はベトナムに立ち上げたいきさつについて、「インスタントコーヒーの主原料となるロブスタコーヒーがブラジル以上に生産でき、ほとんどの国へ免税で輸出できる関税面の優位性がある」と説明する。
同社の強みはブラジルから日本、北米、アフリカなど世界40~50カ国の販売網にのせての販売、ブラジルで培った安定した品質で生産するノウハウや、歩留まりのよい生産だ。当初のインスタントコーヒーは他国産とのブレンドではなく、ベトナム産を単品で計画している。
懸念される「2050年問題」にも着々と対応
ターゲットとして見据えるのは、成長著しい中国を含めた東アジア、ASEAN。次に欧米、東欧ロシアだ。梶原部長は「日本市場はすでにブラジルからの商品がある。ベトナム産で新たな付加価値を生むものは日本へも投入を考えているが、大きくはない。飲量や購買飲料層を拡大できるかがキーワードだ」と話す。
「われわれは日本の3分の1程度のコーヒーを扱っており、日本全体の消費を増やせば自動的に取引も増える。自分たちだけが勝つことよりもマーケット自体を育てることで、結局はわれわれの実入りも増える」と、日本市場についても大きなビジョンを描く。
また、ベトナム産コーヒー市場を育てる考えは、コーヒーのサステイナビリティー(持続可能性)にも通じる。「2050年問題」として世界的な気候変動によってコーヒー生産地が激減する懸念も指摘されている。「長期的にコーヒーの消費量は伸びていくと思うが、生産は頭打ちになり、需給は逆転する。われわれがサポートをすることで、コーヒー生産が可能になる国は多い」と梶原氏は語る。
ロブスタ種の固定観念を打ち破ったスペシャルティコーヒーの需要拡大と、ベトナムから世界戦略をにらむ大手商社。ルートはそれぞれだが、ベトナムの農家とコーヒー生産の品質向上に、日本の企業が次々と新たな展開を広げ始めた。脇役から主役へのステージを上がっていくベトナム産コーヒーは、日本企業の熱い思いとともに大きく変わろうとしている。
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