グーグルスマホ新機能が日本で「使えない」理由 注目の「最先端センサー」は来春までお預け
アンビエントは「周囲の」「ぐるりと取り巻く」という意味。グーグル日本法人のハードウェア部門でパートナーシップビジネスを統括する織井賢氏は発表会見で、「人が意識することなくコンピューターを使えるということ。これまではスマホが中心だったが、これからは人を中心にテクノロジーが寄り添うようになる」と説明した。コンピューターがより生活環境に溶け込むようなイメージだ。
発表製品からわかるグーグルの戦略
今回ピクセルと同時に発表された製品を見ると、その戦略はより浮き彫りになる。来年発売される予定のワイヤレスイヤホン「Pixel Buds(ピクセルバッズ)」は、極小の筐体の中にマイクや機械学習処理用のチップを備え、音声で音楽プレーヤーを操作したり、メッセージや予定を確認したりできる。
また、日本での発売日は未定だが、Wi-Fiルーターの新製品「Nest WiFi」は、ルーター本体と電波の拡張ポイントの2つを発表。機械学習を活用して家の中全体でネットにつながりやすくしているという。拡張ポイントはマイクとスピーカーを備え、スマートスピーカーにもなる。家の中で気軽に音声でコンピューターにアクセスするには、ネットにつながらない場所をなくしたいという考えが背景にある。
一方でネットにつながらない場所でもAI機能の恩恵を受けられるように、ピクセル4には先述のように独自の半導体チップを改善し、クラウドにつながずともデバイス上で今まで以上に多くのAI処理を可能にした。これには近年グーグルを取り巻くプライバシーに関する批判に配慮した面もある。
アンビエントコンピューティングに可能性を見いだしたのはグーグルだけではない。アマゾンも今年9月、音声AI「アレクサ」を活用できるイヤホンやメガネ、さらに指にはめる指輪のようなデバイスを発表。マイクロソフトも来年、日本で音声操作が可能なイヤホンを発売する。
グーグルの描くコンピューティングの世界が日本でも広がるかは未知数だ。本国アメリカに比べ音声操作が普及していないうえ、ハードウェアビジネスの規模も小さい。ピクセル4はアメリカの主要な通信会社が扱うことが発表されたが、日本では3で取り扱いのあったNTTドコモが外れ、ソフトバンクのみになった。
スマホ市場に詳しいIDCジャパンの菅原啓アナリストは、「ピクセル3は高価格帯の割にシングルカメラモデルで苦戦したが、(廉価版の)3aは一定の地歩を築きつつある」と指摘する。デュアルカメラとなった4には期待がかかるが、販売網の面で懸念は残る。
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