グーグルスマホ新機能が日本で「使えない」理由

注目の「最先端センサー」は来春までお預け

手を伸ばすだけで前面のカメラが起動して顔認証でロックを外したり、端末のそばを離れた際に画面が消えたりする。さらにスマホの前で手をかざしてアラームを止めたり、手を素早く振って音楽の曲送りをしたりできる。運転や料理、入浴などの最中であったり、ほかのアプリを使っているときに便利だ。

新機能「モーションセンス」を使うと、スマホの前で手を振ると曲をスキップできる(撮影:尾形文繁)

ピクセル4は北米、ヨーロッパ、アジアの12カ国で発売されるが、この中で唯一日本だけが発売時にモーションセンスを利用できない。スマホにレーダーのチップが搭載されているにもかかわらずだ。背景には電波法の規制がある。

「Soli(ソリ)」と名づけられたレーダーセンサー技術は、グーグル社内にある先端技術の研究開発部門「ATAP(Advanced Technology and Projects)」で開発された。

航空管制や潜水艦など、大型の物体を検知するために過去数十年間使われてきた技術を、5年の開発期間を経て、1つの小さなチップに落とし込んだ。画面の上に埋め込まれたセンサーとアルゴリズムにより、ジェスチャーを理解したり、ユーザーがスマホの近くにいるかどうかを検知したりする。

今のままではSoliが技適を取得できない

ソリで使われているレーダーの周波数は57~64GHz(ギガヘルツ)帯。細かなものを検知するレーダーには広帯域の周波数が必要で、数GHz単位の帯域を確保するには60GHz前後のミリ波が適している。

グーグルが開発した「Soli」のチップ(写真:Google)

こうした電波を一般に使えるようにするには、技術基準適合証明(技適)を取得する必要がある。60~61GHzという狭い帯域では自動車の自動ブレーキに活用されているミリ波レーダーがあるが、電波の規制を管轄する総務省が制定する技術基準では現在、ソリのような指の動きなどを検知する広帯域のレーダーセンサーは認められていない。

そこで昨年末、グーグルは総務省に、ソリのような60GHz帯の新たな無線システムを導入するために必要な技術基準を検討するよう持ちかけた。とはいえ、グーグル1社のためだけに技術基準を改定することは現実的ではない。

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