「中学通学は1カ月だけ」ある少女が掴んだ転機 不登校の自分を責め、摂食障害に…

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――世界一周を経験して、いちばん大きかったことは?

「おもしろい大人がいっぱいいる」と知ったことですね。不登校になったとき私に見えていた世界って、本当に狭かったんです。

広い世界に飛び出したことで「いろんな人がいて、いろんな生き方があっていい。そして、人生というのは決まった順番通りに歩むことだけが必ずしも正しいわけではないんだ」ということを身をもって感じました。

同時に「この旅で感じたことを表現するために、もっと勉強したい」という思いも出てきて、2年遅れで高校に行くことにしました。

「ピースボート」に乗船するときも、2年遅れでの高校進学を決めたときも、不安がなかったわけではありません。

でも、不登校や摂食障害を経験し、その間も自分や将来のこと、生きるということと、とことん向き合ったことで、その経験を自分のなかでしっかり消化できていたんだと思います。

そうやって進んでこられたことで「私は大丈夫」という土台が自分のなかにできあがっていたんです。だからこそ、新しいことに挑戦する一歩を踏み出せたのだと思います。

もちろん、その裏には両親が「ありのままの私を受けいれて見守る」という対応をしてくれていたことが大きかったと思います。

身体のことだけを考えれば、食べない期間は長くないほうがよいに決まっています。

とはいえ、もし食べないことを両親に途中で無理矢理さえぎられるようなことをされていたら、つらく苦しい期間はもっと長引いていたかもしれません。

ふり返ってみても、動き出してみようかなとか、新しい環境に行ってみようかなと思えたのは、誰かに言われたからではなくて、それまでのプロセスのなかで自分自身の納得を一つずつ積み重ねていくことができたから。

これがとても大切なことだったと思います。

高校卒業後、再び「ピースボート」に

――高校卒業後の進路は?

卒業が近づいてきたとき、「ピースボート」のスタッフから何年かぶりに連絡があったんです。聞けば、「グローバルスクール」という不登校やひきこもり経験者に向けた洋上フリースクールが立ち上がる、と。

卒業後のことはとくに決めていませんでしたし、自分の経験に結びつきのあるプロジェクトがはじまることに縁も感じ、「少し成長した今の自分でもう一度世界を見てみたいな」と思って2回目の乗船を決めました。

クルーズ中に「ピースボートで働かないか」と声をかけてもらっていたこともあり、日本に帰ってきた2週間後に「ピースボート」に就職し、あっというまに9年が経ちました。

いつどんなタイミングで、何が力になったり救いになったりするかは、人それぞれで、絶対の正解はないと思います。

ただ、私に大切な経験をもたらした「ピースボート」の船旅や「グローバルスクール」が、もしかしたらどこかの誰かの「今だ」というタイミングに出会うもののひとつになるかもしれない。

そんなことを思って働いています。私の経験を通して、いろんな生き方や選択肢があっていい、そのひとつとして、こんな旅もあるんだということが多くの人に知ってもらえるといいですね。

――ありがとうございました。

(聞き手・小熊広宣/写真・矢部朱希子)

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また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

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