「中学通学は1カ月だけ」ある少女が掴んだ転機 不登校の自分を責め、摂食障害に…
――不登校直後の出来事など、とくにおぼえていることはありますか?
じつは、最初のころの記憶がほとんどないんです。はっきりおぼえているのは、学校へ行かなくなって半年がすぎたころです。
ある日、ふと思ったんです。「学校へ行くという、みんなが当り前にできていることが私はできていない。ならば、食事や睡眠といった人間として生きていくための行為をするのはおかしいだろう」と。
自分が許せなかったんだと思います。自分が存在することに拒否感をおぼえてしまったことで、しだいにご飯が食べられなくなり、「摂食障害」になりました。
1日の食事量は、りんご1個と小さなヨーグルト1カップだけ。そんな食生活を半年以上続けていたので、いちばん痩せていたとき、体重は30キロを切っていましたね。
何も言わずにただ“見守る”
――ご両親はさぞ心配されたのでは?
そうですね。当時の写真が1枚だけ残っているんですけど、まさに骨と皮だけという感じ。母にそのころのことを聞くと「毎日心配で生きた心地がしなかった」と言います。
それでも、無理やり食べるように言われたこともありませんし、力ずくで学校へ引っ張って連れて行かれるようなこともありませんでした。
母が早い段階で「不登校の親の会」につながっていたので、葛藤しつつも、「今の私をそのまま受けいれて見守る」という対応に徹してくれたんだと思います。
母は女性が多く働くNGOで働いていたので、そのころは私も母といっしょに職場によくお邪魔していました。
平日の昼間ですから学校へ行っていないことはわかるし、明らかに痩せているわけですが、母の同僚の方たちは自然に私を受けいれてくれました。
おそらく、「何も言わないで見守っていて」って、事前に母が説明してくれていたのかもしれません。
おかげで、私は何か言われてイヤな思いをすることもなく「この人たちはありのままの私の存在を認めてくれている」と感じることができました。