話題の「女子マンガ」が描き出す女性たちの葛藤 漫画家・鳥飼茜さんと小田真琴さんが語る

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鳥飼:あと、私的には友近さんが出てきたことがすごく大きいと思ってるんです。

小田:友近さんって芸人の?

鳥飼:そうです。私は大阪人だから、テレビにはいつも芸人さんが出ていて、周りも芸人さんの言葉をベースに会話をしていて。それを創っているのは男の人なんですよね。

でも、友近さんが出てきたとき、男の人が笑った。笑われたんじゃなくて、笑わされたんだと思うんです。私が高校、大学のころでしょうか。

岡崎京子は男子を黙らせる

小田:マンガ家だとどのあたりの人になるんだろう?

鳥飼:当時の私は、「岡崎京子さんは男子を黙らせられる」って思いましたね。

小田:確かに。みんな、打ちのめされてましたね。

岡崎京子『リバーズ・エッジ』。実写映画化もされた岡崎京子の名作。

鳥飼女のカルチャーでここまで飛ばして描けるんだって、すごく心強かった。

小田:それも高校生くらい?

鳥飼:中学生のころ、ファッション誌についているマンガをヤンキーの女の子に借りたんですけど、それが岡崎京子さんの作品でした。

タイトルは忘れてしまったのですが、冷蔵庫に女の子が入っていたり、裸が描かれていたりして、「うわ! すごい!」って。

小田:岡崎作品だと、どんなマンガが好きですか?

鳥飼:うーん、難しい……。物語でいえば『リバーズ・エッジ』で、でも『くちびるから散弾銃』も好きです。登場人物たちの生々しさみたいなものをすごく感じたし、会話に惚れぼれしました。

小田:描きなぐっているように見えて構図とか完璧なんですよね。読み手が支配される。

鳥飼:岡崎京子さんは作品そのものがもちろんカッコいい。当時は音楽とファッションのクロスカルチャーの時代で。

漫画家・鳥飼茜さん(写真:週刊女性PRIME)

小田:いわゆる'90年代の渋谷系ですよね。

鳥飼:コーネリアスとかフリッパーズ・ギターとかがカッコよくて、それを好きなことがイケてるっていう空気があって。私も当然、オザケンや小山田くんが大好きで、愛読書は『オリーブ』でした。

小田:'90年代のサブカルは男の子のカルチャーですよね。

鳥飼:そうなんです。男の人の文化がカッコいいことからは逃れられなかった。ただ、彼らは岡崎京子さんと交流があって。

私自身が子どもだったこともあって、イケてる人たちに認められていることで、より岡崎さんにカッコよさを感じていました。

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