「ジョーカー」大ヒットまでの苦難多き道のり

当初、映画会社からは「狂ったアイデア」扱い

映画『ジョーカー』が世界的に大ヒットしている。低予算や、中国での非公開などさまざまな逆境を乗り越えて、世界中の人々の心を打った理由とは?(写真:(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC)

映画『ジョーカー』が、世界的に大ヒットしている。北米のオープニング成績は9600万ドルと、10月公開作品としては史上最高記録。北米外でも32カ国で10月の記録を更新し、この週末だけで世界興収総額は2億5000万ドルに達した。

ヒーローがいっさいでない「アメコミ映画」

これだけ聞くと、よくあることじゃないかと思うかもしれない。たしかに、ここしばらく、映画館はアメコミ映画が席巻しているし、それらは1位になることを前提に作られている。しかし、『ジョーカー』を見た人はおわかりのとおり、今作は決して“スーパーヒーロー映画”ではない。

登場人物は誰もスーパーパワーを持たないし、マントもつけていない。アクションフィギュアとして売れそうなかっこいいヒーローは、いっさい登場しない。

ジョーカーはバットマンのライバルキャラクター(『バットマン:キリングジョーク 完全版』:小学館プロダクションHPより

また、ジョーカーは『バットマン』の悪役ではあるが、DCコミックスのスーパーヒーローを集めた『ジャスティス・リーグ』とも、ジャレッド・レトが演じたジョーカーが登場した『スーサイド・スクワッド』とも、まったくつながりはない。

これは、オタク少年たちでなく、大人の観客を狙った、独立した1本の人間ドラマ。17歳未満は大人の同伴が必要とされるR指定を受けていることが、何よりそれを物語っている。だからこそ、ここまでの数字を出したのは、異例の快挙なのだ。

今作を製作配給したワーナー・ブラザースも、これだけの成功を収めるという強い確信をもっていたわけではなかった。実際、トッド・フィリップス監督によると、ワーナー側は当初、彼の売り込みを一蹴したそうである。それは、十分納得できること。ハリウッドのメジャースタジオが、今、最優先するのは、全世界の観客に幅広くアピールし、シリーズ化、商品化ができる、大型アクション映画だからだ。

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