東須磨小「教員イジメ」が他人事で済まないワケ なぜ大人のイジメは深刻化しているのか
程度の差こそありますが、職場では上下関係をベースにしたイジメが少なくありません。学生時代のような成績、運動神経、体の大きさ、家庭の裕福さなどに起因する力関係より、仕事上のパワーをベースにしたイジメのほうが毎日向き合わなければいけない分、激しくなりがちなのです。
「今どきそんなパワハラが通用するの?」と思う人がいるかもしれませんが、現実的にハラスメントの意識が浸透している会社はまだ少なく、高橋さんのように「ただイジメに耐え続けている」という人たちがいるのです。
職場におけるイジメの内容は多種多様。高橋さんの「暴言を吐かれた」「無視された」「ウソをつかれた」「お酒を強要された」に加えて、「仕事を押しつけられた」「手柄を取られた」「ミスさせられた」などの業務に関するもの、さらに「私物を盗まれた」「尻を蹴られた」「お金を払わさせられた」などの犯罪と言えるものまで多岐にわたり、しかも周囲の同僚たちは見て見ぬフリで助けようとしないのです。
ただ、このようなイジメは30年以上前からあり、思考回路の幼さは今に始まったものではありません。近年、大人のイジメが深刻化している最大の理由は、イジメを写真や動画で保存し、グループ内で共有するほか、SNSで拡散して面白がっていること。極めて悪い意味で、中高生がよくやる「共有・拡散」というイジメの手口を大人が模倣してしまっているのです。
そんな職場のイジメへの対処法は、とにかく毅然とした態度で接すること。イジメの証拠をそろえ、担当部署があれば提出し、なければ信頼できそうな上層部に見せる。それでも改善されなければ、代理人を立てて会社側に対応を迫るなどのドラスティックな行動が求められます。
また、イジメの被害を訴えたうえで、部署や営業所の異動希望を出すなど、加害者との距離を取るのも1つの方法。新たな場所では、色眼鏡で見られるリスクこそあるものの、少なくともイジメを受けることはないでしょう。
教育の場でネックになる正常性バイアス
職場の次は、プライベートにおける大人のイジメ相談のエピソード。近年、子ども絡みの集まりや趣味のコミュニティーなどで、陰湿なイジメに苦しむ人からの相談が増えています。
佳奈さん(仮名、37歳)は、ある商社で経理の仕事をし、保育園に4歳の娘を預けていました。
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