東須磨小「教員イジメ」が他人事で済まないワケ

なぜ大人のイジメは深刻化しているのか

実はイジメの加害者が最も標的にしやすいのは、職場の後輩。「自分よりも仕事ができないやつ」という上から目線から、「お前は俺に迷惑をかけているから、これくらいのことをされて当然なんだ」「俺はお前から迷惑をかけられているから、これくらいのことをして当然なんだ」と、イジメを正当化する思考回路に陥ってしまうのです。

また、職場における大人のイジメがやっかいなのは、加害者同士が徒党を組みやすいこと。社歴・職歴や立場の近い加害者が手を組みグループになることで、イジメの肯定感が増し、責任が分散される感覚が得られるため、「もっとやってもいいだろう」「そうだ! やってしまえ」とエスカレートしやすいのです。

その点で東須磨小の加害教師たちは、イジメをしている感覚が完全にマヒしていました。イジメの証拠となる写真や動画を自ら撮影していたのは、まさに感覚がマヒしている証し。加害者たちは、イジメを共有して笑い合うことで罪の意識を薄め、そんな簡単なこともわからなくなってしまうのです。

また、報道によると、リーダー格の加害教師は授業中、生徒たちに「〇〇(被害教師)にドッキリで激辛カレーを食べさせた。ゲーゲー吐いているのを見るのが楽しかった」と笑い話にしていたそうです。

たとえ最初はちょっとしたイジリだったとしても、毎日会うなど距離感の近い職場で続けていれば、それがイジメに発展してしまうことを加害者たちは気づきません。だから大人のイジメ加害者たちは、事が発覚したとき、「そこまで悪いことをしているとは思っていなかった」と罪の大きさを理解していない人が多いのです。

中高生のようにイジメを「共有・拡散」

ここで大人のイジメの特徴と対処法を挙げていくために、私のもとに寄せられたエピソードを紹介していきます。

不動産会社に勤める高橋さん(仮名、30歳)は、2年前に転職で入社した直後から、同じ営業所に勤める同僚グループのイジメに苦しめられていました。

「30人くらいの営業所なのですが、5人の先輩グループから『お前はバカ』と厄介者のように扱われて、仕事だけでなく書類や文具の置き場所すら教えてもらえず、無視されることもありました。

月に1度の飲み会でも、僕だけ店をちゃんと教えてもらえなかったし、弱いお酒を無理矢理飲まされた揚げ句、靴を隠されたこともあります。初めて社員旅行に参加したときも、『ウチの会社はスーツで行くのが慣例だから』とウソをつかれて、1人だけ温泉街をスーツで歩かされ、その様子を動画で社内中に拡散されて恥をかきました。

イジメられている状況を何とか変えようと、先輩グループに話しかけたり、仕事で結果を出そうと頑張ったりしましたが、2年たっても全然変わりません。仕事はそれなりに充実しているので、できれば会社を辞めたくないのですが、精神的には限界に近いものがあります。やはり転職するしかないのでしょうか?」

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