成長止まらない「YouTube」ビジネス戦略の裏側 本社のナンバー2が語る成長と責任(後編)
クリエーターの収益源を広げた理由は2つある。
1つは、クリエーターとファンの結びつきを強めること。チャンネルメンバーシップは、ファンが月額4.99ドル(日本では490円)支払えば、さまざまな特典を受けられ、より関係性が近くなる(編集注:現在は0.99ドル~49.99ドルまで設定可能)。スーパーチャットは、ファンがクリエーターに感謝の気持ちを伝える手段だ。スーパーチャットの収益上位10人のうち7人は日本のクリエーターだ。
もう1つは、クリエーターの要望があったから。彼らの中にはすでに同じような収益化を模索していた人がいて、プラットフォームの外ではなく、ユーチューブの中でシームレスに機能するものを実装してほしいとの声があった。チャンネルメンバーシップなどの機能は、クリエーターと一緒になって開発した。
音楽はユーチューブにとって重要な要素
――これまでのユーチューブは広告収入を原資として、基本的に無料のサービスとして展開してきました。ただ、昨年日本でも提供が始まった「ユーチューブミュージック」(※広告が入る無料版もあり)や「ユーチューブプレミアム」は有料です。有料サービスを増やしたのはなぜですか。
ほかのプラットフォームと比較したとき、ユーチューブの強みの1つとして挙げられるのが、音楽だ。取りそろえている作品の深さがある。ミュージックビデオだけでなく、コンサート映像やアコースティックバージョン、オリジナルとは異なるミックスなど、本当のファンなら求めるものが見つかる。
無料のユーチューブではダメなのか。まず言えることとして、ユーチューブミュージック有料版の価値は、広告に邪魔されない、バックグラウンド再生ができる、(ダウンロードして)オフライン再生ができるといった点にある。これはユーチューブプレミアムも同様だ。
音楽を聴くのが目的であれば、それに適した体験を提供できる別のアプリが必要だ。さらに、グーグルの強みである機械学習を活用したおすすめ曲を提示するアルゴリズムや、人間によるプレイリストやランキングの編集にも力を入れている。昨年11月の提供開始以来、登録者数は非常に強く伸びている。
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