成長止まらない「YouTube」ビジネス戦略の裏側 本社のナンバー2が語る成長と責任(後編)

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――音楽の分野では、国内外の大型音楽フェスティバルをユーチューブ上でライブ配信する試みも増えています。

音楽はとてもわくわくするし、これからもユーチューブが重点投資する分野だ。日本の「フジロックフェスティバル」やアメリカの「コーチェラ」など、フェスティバルの無料配信も今増やしている。これまでも多くのアーティストがユーチューブからはやったように、主催者やアーティストにとっては世界中のユーザー10億人以上に露出できるチャンスだし、ユーザーからも好評だ。しかも広告主からの協賛金で運営できている。

今夏開催されたフジロックフェスティバルでのライブ配信現場の様子(写真:YouTube)

ライブ配信はユーチューブの中で急成長しているフォーマットだ。これがフェスティバルと置き換わるわけではない。コーチェラであれば、広大な平原の中でいろいろなステージを回る楽しさがある。コアのビジネスと食い合わずに視聴者層を拡大できることを、主催者もわかってくれた。

毎月2億人がゲーム実況動画を視聴

――今秋には欧米の一部の国でクラウドゲームサービス「スタディア」の提供も始まります。スタディアの発表の際には、ユーチューブにおけるゲーム実況の活発ぶりが強調されていました。

ゲームは長年、ユーチューブの中でも最も重要なコンテンツ分野の1つだ。ゲーム開発者でもあるクリエーターが非常に多く投稿してくれている。世界でゲームコンテンツを視聴しているのは、毎月2億人にも上る。昨年1年間では、ゲーム関連の視聴時間が550億時間に達した。これらの数字はほかのゲームメディアプラットフォームと比べて何桁も大きい。

広告以外で稼ぐクリエーターが多いのもゲーム分野の特徴だ。ゲーマーたちは、どのような新しいプロダクトや機能を開発すべきか、方向性を教えてくれるカギとなってくれている。サービスのイノベーションを進めるうえでも、彼らには助けられている。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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