成長止まらない「YouTube」ビジネス戦略の裏側 本社のナンバー2が語る成長と責任(後編)

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ブランドセーフティ(広告を適切な場所に表示することでブランドイメージを保つこと)に関する懸念は往々にして出てくる。ただ彼らは今や、それよりも広告商品やフォーマットのイノベーションを重視する。フォーマットに関しては、ここ数年で単にビデオの中で流す広告だけでなく、ホーム画面や「次に再生」の動画一覧の中などにも増えている。

裏を返せば、ブランドセーフティを確保するためのわれわれの取り組みに満足してもらっているということ。(ガイドラインの整備や動画削除の仕組みなど)ここ数年の施策によって、議論の内容がブランドを守ることから、ブランドの収益機会をどう生み出すかということに変わった。実際、単にブランドの認知を広げる広告だけでなく、アプリのインストールやネット通販サイトへの誘導など、ユーザーの行動を促す広告の配信が増えたことも大きな変化だ。

日本は世界でもトップ5の市場

――それだけユーチューブの日本での収益も拡大しているということでしょうか。

ユーチューブのみの収益の実数は開示していない。だが、日本はエンゲージメントや収入の面でグローバルでトップ5に入る市場だ。この先はクリエーターのエコシステムに投資し、成長させていくことが重要だ。先述のとおり、10万人以上の登録者を抱える日本のクリエーターは2300人。この数字は前年比で7割も増えた結果だ。米ドルで5~6桁の収入(数百万~数千万円)を得たクリエーターの数も前年比で6割増えている。

「チャンネルメンバーシップ」の登録画面。日本のクリエーター「水溜りボンド」の場合、月額490円支払うとさまざまな特典を受けられる(画像:YouTube)

もちろん彼らの収入のほとんどは広告によるもの。ただ、最近はほかにも収益を得られる手段を用意している。有料課金型の「ユーチューブプレミアム」上で配信すれば、課金収入が得られるほか、(登録者がクリエーターに課金して限定サービスを受けられる)「チャンネルメンバーシップ」、(ライブ配信中の投げ銭機能である)「スーパーチャット」もある。クリエーターがチャンネル内でグッズを販売できる機能も一部の国では始めている(日本では未発表)。

――ユーチューブ上で過激な動画が増えた要因として、広告収入が視聴回数で決まっており、クリエーターがそれを意識していたことがあると思います。クリエーターの稼ぐ手段を広げたのは、そういったことも背景にあるのですか。

それは興味深い意見だが、クリックベイト(クリックを不用意に喚起するコンテンツ)の動画はおすすめ動画を選ぶアルゴリズムによってこの数年で排除を進めてきた。おすすめされるかどうかの基準として、過去には視聴回数などを見ていたが、今はそれだけではない。高評価数や低評価数、コメント数、視聴者からのフィードバックなど、ユーザーの満足度を表す指標を重視している。

次ページ有料サブスクビジネスをなぜ始めた?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事