文章を正しく理解できない人がAIに負ける理由 中学生平均を下回る水準の上場企業社員も
「AIには常識がない」とも新井氏は言う。例えば「インタビューでやってはいけないことは何か」と尋ねても、AIは答えられない。インタビューで「やること」はデータとして出やすいが、「やらないこと」のデータは集まりにくいためだ。
一方で、人は意味を理解し、常識で判断できる。AIは上手に設計して適切なところに応用すれば機能するが、リアルな社会での常識や文脈に依存するものなどを読み解く力はない。人が鍛えるべきはまさにその力だ。
中学生の平均を下回る社員もいる
ところが、ビジネスパーソンの現状は楽観できない。新井氏が開発を主導した、基礎的・汎用的読解力を測るリーディングスキルテスト(RST)の結果分析によると、東証1部上場企業にも、正答率が中学生の平均並み、項目によっては中学生の平均を下回る社員がいるという。
RSTは専門知識がなくても、文章が読めれば答えを導き出せるようになっている。以下はその問題例だ。まずは解いてみてほしい。
以下の文を読みなさい。
真核細胞の呼吸の材料となる有機物は主にグルコースで、細胞に取り込まれると、ミトコンドリアの酵素などによって分解反応が進み、無機物に分解される。
この文脈において、以下の文中の空欄に当てはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
・( )は細胞内で分解される。
①ミトコンドリア ②グルコース ③真核細胞 ④無機物
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