治療と業務内容を両立するための時短勤務案
厚生労働省委託調査(2013年度)によると、がん発覚後に会社と復職交渉もせず、退職を申し出る依願退職者が約3割、というデータがある。「もう人並みに働けない」とか、「会社に迷惑をかける」と、弱気になる人が多いためだろう。
一方、関さんは2013年11月、ステージ4のすい臓がんと診断された。がんの中でも治療が難しいとされるすい臓がん。しかもステージ4なら誰でも気が動転してしまいそうだが、関さんは違った。
検査・手術と続く約2カ月間の入院中に、現実を受け止めて頭を切り替え、会社との復職交渉を考えていた。
ビル管理会社に中途入社した関さんは順調に昇進。当時はパート社員約600人を統括する、管理職としての権限と責任を与えられていた。1日の平均睡眠は4時間で、土日出勤もいとわず、深夜の緊急連絡にも対応してきた。
「集中治療室から一般病棟に移ると、仕事を少しずつ再開しました。まずは部下への電話連絡で近況の確認。その後はメールで見積書や報告書などを送ってもらい、細かな数字の修正などを指示していましたね」
色白の関さんは当時を淡々と振り返る。
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