忍術道場の「武神館」が外国人を惹きつける理由 日本人が知らない「ふるさと」の魅力と聖地

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豪雪地帯の山間部に棚田を作り、それを棚池へ転換して育んできた錦鯉文化。何世代にもわたる稲作と錦鯉養殖の複合経営が見事に結実して、「山古志の錦鯉」は世界中の人々を虜にし、世界に誇る「錦鯉の聖地」「日本農業遺産」となったのである。

「JAPOW」とは?

ニセコアンヌプリ(標高1308m)をはじめとするニセコ連峰を取り巻く山岳丘陵地帯のニセコエリアは、新千歳空港から車で2時間半程度。リゾート地の中心となっているのは倶知安町とニセコ町だ。日本海で水蒸気を含んだシベリアからの寒気が蝦夷富士・羊蹄山を越えるころにはサラサラの粉雪に。スキー場に積もった雪はふわふわ。外国人たちが「JAPOW」と呼ぶ羨望の良質パウダースノーなのである。

「JAPOW」に最初に目をつけたのはオーストラリア人だった。南半球に住む彼らにとって、幻想的な雪景色が広がるニセコの冬はちょうど夏休みの時期。時差がほとんどない北海道の大地にすばらしい雪があることを知り、口コミで人気が広がっていった。やがてニセコの「JAPOW」の存在はウィンタースポーツの本場ヨーロッパの人たちにも知られ、世界中から観光客が訪れるようになっていった。最近の外国人宿泊客の延べ数は年間170万人泊を突破した。

こうなると世界的なマネーが動く。倶知安町の地価の上昇率は日本一となり、超高級コンドミニアムやホテルが林立。中国やシンガポールなどの富豪たちが大金を投じてコンドミニアムの部屋を買い、転売する。そんなマネーゲームの世界も存在しているのだ。

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一方で、ニセコに愛着を持ち、住み着いてしまう外国人も多い。ホテルや飲食店、アウトドア関連会社などで働きながら、ウィンタースポーツやニセコの大自然を楽しむナチュラルライフを送っている人たちだ。ニセコエリアの中心地区にある倶知安町の人口は約1万6600人。そのうちの1割強が外国人となっている。

ウィンターシーズンともなると、ニセコのゲレンデや街中は外国人だらけである。ショップの看板や店内の英語が当たり前の世界。コンビニには中国語、韓国語も併記されている。日本人を見かけることのほうが少ないくらいだ。

もちろん、リゾートの繁栄と自然環境の調和、地域への経済還元など課題も増えている。そうしたなか、地域の有志が社団法人を作り、外国資本との協業など新たな街づくりのための取り組みも始まっている。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログでは、最新の病状などを掲載中。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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