「激減した赤トンボ」が見事復活した地域の秘密

自然の恵みを疎かにしないところからの実践

地方の田園に定番だった風景は戻ってくるのでしょうか(写真:rishiya/PIXTA)

実りの秋の空に群れ飛ぶ赤トンボ。かつては地方の田園風景で定番だったが、「最近は見られなくなった」いう声が上がって久しい。一方、「最近、赤トンボを見るようになったね」と地元で話題にのぼる地域も出始めている。

赤トンボが減少した背景には、農薬、かんがい用水路などの構造の変化、耕作放棄地の増加、森林や草地の開発などさまざまな要因が指摘される。折しも今年、科学者と各国政府代表でつくる国連の機関が出した報告書は、昆虫や鳥などによる農作物への貢献を強調した。バランスのとれた生態系保全こそが田畑の生産力にとって大事だ、との考え方が世界の潮流になりつつある。

万単位のトンボに笑顔の無農薬農家

「もう、感動だよね。万単位だから」

宮城県大崎市で無農薬でコメ作りに取り組む齋藤肇さん(撮影:河野博子)

宮城県大崎市田尻蕪栗(かぶくり)の農業、齋藤肇さん(45歳)は、こう言って、スマホで撮った赤トンボ(アキアカネ)の動画と写真を見せてくれた。齋藤さんは、8ヘクタールの田んぼで無農薬栽培に挑戦している。

「落水したとき、羽化して稲にとまっている。いっぱい。羽がまだ白いんです」

落水って?

「落水とは、稲が成長したときに、あえて水を落として乾燥させて根を張らせること。7月の上旬に行います。だいたい、それにあっているんですよ、生きもののサイクルは。(トンボは)落水する時期を見込んで、その時期にあわせて羽化する」

次ページ稲についたトンボの羽化殻は万単位になる
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • 近代日本を創造したリアリスト 大久保利通の正体
  • 夢を諦めない「脱会社員の選択」
  • 忘れえぬ「食い物の恨み」の話
トレンドライブラリーAD
人気の動画
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
富裕層、世代でまったく異なる「お金の使い方」
富裕層、世代でまったく異なる「お金の使い方」
ANAとJAL、国内線で競り合う復活レースの熾烈
ANAとJAL、国内線で競り合う復活レースの熾烈
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
メタバース革命が始まる<br>全解明 暗号資産&NFT

不正流出事件から4年。復活不可能に見えたビットコイン相場は米国主導で活況を取り戻しました。暗号資産を使ったNFTの購入、そしてNFT取引が広がるメタバースにもビジネスの機会が広がっています。日本は暗号資産とどう向き合うのでしょうか。

東洋経済education×ICT